
まずは「ロ短調ソナタ」です。この曲はリスト自身は何も標題やヒントになるテキストを付けたりはしていません。しかし、非常にドラマティックな曲ですから、様々な解釈がなされています。ブレンデル自身は「音楽のなかの言葉」で、ゲーテの「ファウスト」と結びつける解釈をしています。
このソナタは一楽章でできていますが、3部ないし4部構成と見るのが普通で、その2番目のAndante sostenutoに出現する主題を「永遠に女性的なるもの」を表す、としています。「ファウスト」の感動的なラストシーンを想い起こします、いやロマンティックな解釈です。譜例はこれ。ウィキペディアから借りました。
ブレンデルの「ロ短調ソナタ」の録音は、有名なものだけで3種類あります。なお、今回みっちが聴いた録音は◎印を付けてあります。
1963年4月ウィーン
1981年6月1-3日、London - Watford Town Hall
◎1991年10月8-11日、Neumarkt in der Oberpfalz - Reitstadel
なお、みっちは「ロ短調ソナタ」の盤をいくつか持っていますが、熱心に聴いたと云えるのはアルゲリッチ盤だけです。有名な1971年録音のDGG盤、まぁこれはもう、どなたもお持ちの定番ですね。そのアルゲリッチのキレキレの演奏と比べてどうか。ほぉ、穏やかだ、ブレンデルの解釈が思い起こされます。ゲーテ「ファウスト」、うんこれでいいじゃないですか。その雰囲気は十分にあります。ロベルト・シューマンに献呈されたが、クララ・シューマンはこの曲の価値を認めず、ブラームスはリスト本人から聴かされて、ぐぅぐぅ寝てしまった(笑)という逸話のある曲、一方でリヒャルト・ワーグナーは激賞しています、初演は延び延びとなり、1857年、ハンス・フォン・ビューローによって行われています。
「巡礼の年」に行きましょう。ブレンデルは「第一年」全曲を1度、「第二年」全曲を2度録音しています。「第三年」は1度録音していますが、全曲ではなく抜粋となります。
「第一年」(全曲)
◎1986年10月7-9日、London - Walthamstow Assembly Hall
「第二年」(全曲)
1972年5月31日-6月2日、London - Walthamstow Assembly Hall
◎1986年3月24-26日、London - Walthamstow Assembly Hall
「第三年」(抜粋、2.エステ荘の糸杉に寄せて、4.エステ荘の噴水、5.物事に涙あり、7.心を高めよ)
◎2.、4.、5.:1979年9月24-27日、London - Henry Wood Hall
◎7.:1986年12月16-17日、London - Henry Wood Hall
なお、録音場所の「London - Walthamstow Assembly Hall」なんですが、日本語リーフレットには「ロンドン、ウォルサムストウ、タウン・ホール」となっています。どうだっていいようなことなんですが、タウン・ホール(Town Hall)は市庁舎でお役人が執務をしているところ、アセンブリ・ホール(Assembly Hall)はその付属の多目的ホールで、結婚式、ダンスパーティ、コンサートその他もろもろの催しが行われる場所です。このウォルサムストウの場合は、タウン・ホールとアセンブリ・ホールは少し離れて建っている別建屋ですから、まぁアセンブリ・ホールが正解でしょうか。
「London - Henry Wood Hall」ってのも、多目的ホールのようですなぁ、こういう施設での録音が多いのは何か理由があるのでしょうか、特に音響的に優れているとも思えませんが。
「第三年」の2.、4.、5.だけはアナログ録音です。他は「ロ短調ソナタ」も含めて全てデジタル、「ロ短調」は少し年代が新しいですが、他はだいたい1986年の録音、このころのデジタル録音機材って、例の世界を席巻したSONY機ですかね。似かよった音質です。
今回はリマスタリングについてはあまり検討していませんが、「ロ短調」は22kHzまで入っています。他は20kHzどまり、録音レベルの取り方・ダイナミックレンジなど、それぞれ時代相応の値を示しています。なお、今までみっちが「巡礼の年」を聴いていた盤は、アルド・チッコリーニの全曲録音盤、「第一年」「第二年」「第二年補遺」「第三年」すべてがステレオ録音(1961-69年)されたEMI盤です。まぁ、長年にわたって、ほとんどこれだけで済ませていた(笑)わけであります。
まぁお安い中古盤を漁ったりしないで、ブレンデルのフィリップス全録音集(CD114枚)を買ってしまえば終わりなんですけどね。まぁ、みっちの場合そこまで執念はない(笑)し、何よりも場所ふさぎです。何かあればストリーミングで補うことにしましょう。今回手に入れたCDのジャケット写真を以下に。「巡礼の年 第二年」と「巡礼の年 第三年」(これはCD2枚に別れてます)です。なお「巡礼の年 第一年」は記事冒頭の画像、「ロ短調ソナタ」は
前記事に載せたジャケットのCDを入手していないので、「The Artist's Choice Collection Alfred Brendel」というCD8枚組のセットで聴いています、これはデッドストックの新品が格安で手に入ったため。
さぁ、それでブレンデルの「巡礼の年」の感想なんですが、やはり「第一年」「第二年」が聴きやすい、「第三年」は微妙です。ブレンデルが書いているように、「第一年」「第二年」のベースとなっているのは、詩と文学・美術です。チッコリーニの盤と比べて、ブレンデル盤は音も良いし、物語性を強く感じます。いいな、それで「第三年」は?、これはまだみっちの修行が足りないようです。(笑)
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