晩年のアバド、モーツァルトの協奏曲集です、すべてオーケストラ・モーツァルト、なんと平明・快活なことか、の巻。 |
アバドの指揮は、デビュー当時いたく感心したものの、その後は言いたいことがいまひとつわからず、とくにピリオド寄りになって以降のモーツァルトは、緩叙楽章が早くそっけないものになって、関心が薄れました。そのくせ、ソリストのカデンツァにダメ出して録音を投げ出すなど、変な頑固さが出てきたのも嫌でした。
まあ偏見です。
しかし、カルミニョーラの先が読めない、多彩な表情のヴァイオリンは十分に聴く価値がありますね。
>ソリストのカデンツァにダメ出して録音を投げ出すなど...
はい、2011年のエレーヌ・グリモーとの共演時の事件ですね。みっちは、この2人のアーティストのどちらもお気に入りなので困るのですが、これは製作側(DGG)にも責任があると思います。エレーヌはフランス人ですが、志向はまったくのドイツロマン派です。彼女が初めてモーツァルトの協奏曲を採り上げるにあたって、ブゾーニのカデンツァを選んだのも、(彼女なりに)リーゾナブルであったと思います。
一方のアバドは、もう晩年も晩年、そのモーツァルト演奏にはロマン派的解釈は薄く、平明素朴です。当然アバドはオリジナルのモーツァルトのカデンツァにしてくれと頼み、エレーヌはノーという返事だった、ということみたいですが、今の時点であとから第三者的に顧みれば、当然の帰結だったような気もします。(笑)アバドは晩年に、ピリスやアルゲリッチとはモーツァルトを録音してますけれど、エレーヌとはちょっと水と油でしたね。
>カルミニョーラがソロをとったヴァイオリン協奏曲。これは、とてもすばらしく...
モーツァルトのVn協奏曲はグリュミオーあたりを聴いてぜんぜん満足できず、最近のではファウストさんのも買ってはみたものの、さっぱり聴いていない(汗)という状態だったのですが、このカルミニョーラのVnはいいです。モーツァルトのVn協なんて、しょせん若書きで...という先入観が覆されました。お薦めですね。