フィリップ・プルマン「秘密のコモンウェルス」(2019年)を読むための、中東地理ガイド、の巻。 |
はい、トルコの古地図は面白いです。紀元前の遙か昔から、トルコは立派な文明が栄えていたんですね。
フィリップ・プルマンの新作の邦訳は、さっぱり噂も聞きません。このまま、なかったことにされてしまうのか。
どこかの出版社で引き受ける所はないのでしょうか。
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2019年 11月 12日
フィリップ・プルマン「秘密のコモンウェルス」を読みますと、舞台がオックスフォードから、ヨーロッパへ、そして中近東へと、目まぐるしく移っていきます。そして、聞き慣れない地名が頻出するのです。 なお、ライラの住む世界は、我々の世界ととてもよく似ていますが、同一ではありません。例えば、ライラのオックスフォードにあるジョーダン・カレッジは、我々の世界のオックスフォードには存在しません。それが建っているとされる場所には、我々の世界では、エクセター・カレッジが建っています。 このようにライラの世界は、現実の世界とよく似てはいるが、違うところもある、という辺りが、かなりややこしいのです。そこで「秘密のコモンウェルス」を読む人のために、地名の説明を書いてみました。これはみっちが自分で「秘密のコモンウェルス」を読んだときに作った、手書きの汚いメモ(笑)を清書しなおしたものです。地名の並び順は、だいたい本文での出現順ですが、正確ではありません。 1.中央アジア タシュブラクTashbulak 中央アジアの一地方、我々の世界ではウズベキスタンUzbekistanのナマンガン地方Namangan Regionに実在します。ライラの世界では、ここに植物研究ステーションが置かれています。 クランシャンKhulanshan アクザールAkdzhar いずれも、タシュブラクから150kmほど離れた地方のようです。最近、バラの栽培者・栽培場を襲撃する事件が起こったとされています。ライラの世界にしか存在しないと思われます。 カラマカンKaramakan ここはタシュブラク内のどこかのようです。ライラの世界にしか存在しません。あたりは砂漠で、ここで謎の種類のバラが育つのです。このバラは、この地を離れるとうまく生育しないという。しかも、ここにはダエモンは立ち入れないようなのです。 赤い建物the red building カラマカンの砂漠にある巨大な建物、ドアも窓もなく、長方形の暗赤色のブロック状である。司祭とも兵士ともつかぬ者たちがここを守っている。ラテン語を話す。ここに行きつくまでは、ダエモンと別れて進まねばならない。そして、ダエモンと首尾よく落ち合えると、この建物の中に入ることができる。 謎の言葉「akterrakeh」 これは、ラテン語の「水と土Aqua terraque」なんだそうです。ある特別な場所があり、そこへ行くには、人とそのダエモンが別々に、片方は水路を片方は陸路を使って行かねばならない、とのこと。砂漠地方へ行くのに水路はないだろう、というとですね、ロプノールLop Nor(有名な「さまよえる湖」です)ってものがあるじゃないか、と教えられます。どうもシュトラウス博士は陸路砂漠を行き、彼のダエモンCariadは水路を進んで、赤い建物の前で再会できた、ということのようなのです。 2.トルコとその周辺(記事冒頭の画像を参照してください-これはギリシャ・ローマ時代のトルコの古地図です) コンスタンティノープルConstantinople もちろんこれはイスタンブールIstanbulの古名です。そのさらに昔は、ビュザンティオンByzantionです。 ピシディアPisidia 我々の世界では、ピシディアはトルコ南沿岸のリュキアLycia(古名)の北部の地方です。有史以来の長い歴史があります。ライラの世界でも、ピシディアが古代ローマの地名というのは同じで、ここがバラ栽培の地方ということになっています。マルコムはこのピシディアの首都(名前は分からない)に立ち寄ります。ここはコンスタンティノープルの300マイル南と説明されています。 スミュルナSmyrna 我々の世界では、エーゲ海に面するトルコ西部の都市イズミル(İzmir)です。人口400万人のトルコ第3の都市なんですが、その古名です。ライラの世界では古名がそのまま活きているようです。コンスタンティノープルからフェリーでスミュルナへ行くことができます。殺されたハッサル博士の持っていた客船ゼノビア号の予定表には、このスミュルナのカフェ・アンタリアで5月11日(月)との待ち合わせらしい、書き込みがありました。ライラの世界では、スミュルナからアレッポへは鉄道が通っています。 セレウケイアSeleukeia 我々の世界では、ここはシリフケSilifkeという町です。シリシアCilicia地方の海岸ぞいに実在します。セレウケイアは古名ですが、セレウケイアという地名はほかにもあるので、特定するにはカリュカドヌムCalycadnumのセレウケイアと呼ぶ必要があります。ここも古代から歴史のある町のようです。ライラの世界では、スミュルナからアレッポへ向かう鉄道の通過地点です。セレウケイア止まりの列車もあります。 ブルー・ホテルBlue Hotel(またはアルハン・アルザキオal-Khan al-Azraq、または月の都市the City of the Moon、Madinat al-Qamar) セレウケイアからアレッポに至る道の、途中に沢山ある「死の町Dead Cities」の一つがそれらしい、ここに人と別れたダエモンが住んでいるという。ここに行くにはラクダを使うしかありません。 アレッポAleppo シリア北部、トルコ国境近くにある都市です。我々の世界に実在します。人口は2008年現在で約167万人、シリア最大の都市です。アレッポはどういうわけかこの地図には載っていないので、書き加えておきました。もちろんここも古い歴史を持つ都市で、古名はハルペ KhalpeもしくはベロエアBeroeaです。
by mitch_hagane
| 2019-11-12 10:33
| 5.本
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Comments(2)
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yositaka
at 2019-12-10 09:27
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これは素晴らしい地図です。邦訳が出たら参照しながら読むことにしましょう。ところで、いつ出るのかなあ…
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by
mitch_hagane at 2019-12-10 11:04
yositakaさん
はい、トルコの古地図は面白いです。紀元前の遙か昔から、トルコは立派な文明が栄えていたんですね。 フィリップ・プルマンの新作の邦訳は、さっぱり噂も聞きません。このまま、なかったことにされてしまうのか。 どこかの出版社で引き受ける所はないのでしょうか。
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