サシャ・ヴァルツSasha Waltzとは何者か、ベルリン国立歌劇場の「タンホイザー」Blu-ray盤を鑑賞する、の巻。 |
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2019年 05月 20日
はぁ、バレンボイムの指揮、ベルリン国立歌劇場で2014年4月のベルリン、シラー劇場での公演記録です。前々から発売されていたのですが、まぁペーター・ザイフェルトの「タンホイザー」役というと、CD盤では同じくバレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンで2001年録音のセッション盤WARNER(TELDEC)がありますし、Blu-ray盤でリセウ大劇場のものとか、DVD盤ならウェルザー=メスト/チューリッヒのもありますし、ハルトムート・ヘンヒェン指揮コヴェント・ガーデンのはBBCでも放送がありました。 今回購入が遅れたのは、ザイフェルトさんのタンホイザー役は当たり役で、安心して見ていられるんですが、こう頻出されると、さすがにちょいと食傷気味であったのです。(笑)それが、たまたま、HMVでお安く販売(1890円送料込み)されていたので、それならまぁ一つ採ってみるかと、こうなりました。 それでどうだったのかね。 結論から申し上げましょう、これは傑作です。ペーター・ザイフェルトさんの「タンホイザー」役に食傷している方も、一見の価値は十分にあります。その理由は、なんといっても、本記事の表題にも挙げたサシャ・ヴァルツさんです。サシャ・ヴァルツなんて歌手知らないなぁ、そうでしょう(笑)、サシャは演出stage designと振付choregraphyを担当します。彼女の本職は振付師っていうかコレオグラファーchoreographerです。「タンホイザー」という歌劇は、みなさまよくご存じのとおり、第1幕にバレエが加わったパリ版が主流です。ヴェーヌスベルクのシーンですから、たいていエロティックなダンスであることが多く、男性のお客はオペラグラス持ってきてよかったなぁ、と思うところです。(笑)どっこい、今回のベルリン国立歌劇場版では、ダンサーたちは第1幕冒頭だけでなく、ずーっと通して、第2幕にも第3幕にも登場いたします。(驚) 今更ですが、ダンスの力って、すごいんですねぇ。見慣れた、聴き慣れた第2幕の歌の殿堂への行進も、すっかり新鮮に見えます。第3幕の巡礼たちの合唱シーンもそう。サシャさん、流石の振り付けです。この振り付けに対応して、舞台装置は簡素で抽象化されています。それでいて、「現代」を感じさせるのは、これまた流石です。(舞台美術set designはピア・マイア・シュリーヴァーとサーシャです)演出全体も新鮮です、気の付いたところを、順不同で挙げておきましょう。 第2幕冒頭、エリザベートが歌の殿堂にいるところに、タンホイザーがヴォルフラムに伴われて入ってきます。ここでエリザベートとタンホイザーは有名な愛の2重唱となるのですが、よくよく台本を見ると、ヴォルフラムも、エリザベートへの思慕が破れたのを嘆いて、こう歌っています。 So flieht für dieses Leben mir jeder Hoffnung Schein! かくて去るか、この人生から すべての望みの輝きが! ここって、2重唱の流れにちょっと逆らう感じなので、舞台隅でボソボソと歌うか、あるいはまったく聴こえない(笑)てのが、多いんですが、この舞台ではしっかりプレアップされ、ヴォルフラムは堂々、自分の胸の内を歌います。いいですね。 第2幕、肝心かなめの歌合戦のシーン、ヴォルフラムが先陣を切って Blick' ich umher in diesem edlen Kreise, この高貴なる集まりを見渡せば、 と愛の理想を歌い始めます。よく単独でも歌われる有名な歌ですが、どうしたことか、今回はテンポも遅く、ダルで、輝きがありません。座って聴いているエリザベートなんて、眠ってるんじゃないかと。(爆)これじゃあ、タンホイザーが、なんか足んねぇぞー、と怒り出すのも、無理はないという感じが。(笑)こういう演出は、初めて目にいたします。 あと、第2幕のラスト近く、領主から追放を言い渡されたタンホイザーに、エリザベートが歌うここ、ちゃんとありました。(愉)ここって、省略されることが結構あるんです。 "Lass hin zu dir ihn wallen, du Gott der Gnad und Huld! Ihm, der so tief gefallen, vergib der Sünden Schuld! Für ihn nur will ich flehen, mein Leben sei Gebet! Lass ihn dein Leuchten sehen, eh' er in Nacht vergeht!" 『彼をお導き下さい、 恩寵と慈悲の神よ! 彼はかくも堕落しましたが、 その罪をお許し下さい! 彼のために、私は嘆願し、 祈りの人生を歩みます! 彼に、あなたの栄光をお見せ下さい、 彼が闇の中に消える前に!』 みっちの大好きなところです。エリザベート役のアン・ペーテルセンさん、よく歌って、演技も頑張っています。サシャは、歌手にもかなり演技を要求しているようですね。素敵です。演出家の故パトリス・シェローが、(ちゃんと指導をすれば)歌手だって立派に演技はできるんですよ、と語っていたのを思い出します。 はい、今回はちょっと興奮して記事が長くなりました。この辺で。(笑)記事冒頭の画像はサシャです。舞台写真は第1幕のヴェーヌスベルク、第2幕の歌の殿堂です。マリーナ・ブルデンスカヤのヴィーナス役魅力的です、そしてペーター・ザイフェルトのタンホイザー役は、やはり盤石でありました。
by mitch_hagane
| 2019-05-20 14:23
| 3.音楽
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