連休明けの上野界隈を散策、そして夏目漱石「野分」(のわき)をちょいと思い出してみました、の巻。 |
追記があります。
いやもう、全くそのとおりであります。ご指摘ありがとうございます。
『もともとヨーロッパで壁の内装に用いられた金唐革の技法を和紙で再現した日本独自の「金唐革紙」』『和紙に金属箔(金箔・銀箔・錫箔等)をはり、版木に当てて凹凸文様を打ち出し、彩色をほどこした壁紙』ですね。
本文も修正を入れておきました(^_^;)
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2018年 05月 08日
追記があります。 「野分」といいますと、漱石の本の中では、あまり話題にはならない作品かと思います。「草枕」の才気と色気は、ここにはなく、白井道也(しらいどうや)先生の、最後の演説は、力は入っておりますが、今ひとつ、こそばゆい感じで、心に響くものがない、「凡作」と云ったら叱られるでしょうか。 しかし、それでも、みっちが「野分」を読むのは、明治40年頃の東京の風俗が愉しいのと、110年も前の話なのに、妙に現代に通じるものを感じるからです。 例えば、日比谷公園、「野分」第2節の舞台は、日比谷公園、ここで中野輝一と高柳周作が出会います。日比谷公園の「ロハ台」(備え付けのベンチのこと)は、『どこの何某か知らぬ男と知らぬ女で占領されてゐる』とあります。 これは今の日比谷公園でもそうですよね。(笑) さて、中野君と高柳君は、『公園の真中の西洋料理屋』で昼食をとります。これは、「松本楼」でしょうねぇ。2人が食べるのは、鮭のフライ(オレンジの汁をかけて食べます)、鳥肉、それにビフテキです。ずいぶん食べます。ビフテキの焼き具合は、赤い血がでる「生焼」(なまやき)です。 さらに、第4節の舞台は上野の動物園前、ここでも中野君が偶然高柳君と出会います。そして二人が行く慈善音楽会の会場は、東京音楽学校の奏楽堂と思われます。ここでピアノ・トリオにベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ、それにRichard von Perger(1854-1911)の音楽を聴きます。Pergerなんて知らないなぁ。(汗)なになにブラームスに教えを受け、室内楽とかセレナーデを書いて、指揮者としても活躍された人ですか。ほぉ。この音楽会、最後はワーグナーの「タンホイザー」から、行進曲で終わります。あの第2幕歌合戦の場ですね。 この辺りの描写、110年前の様子とも思えません。流石に東京は進んでおりました。 そして湯島天神が出てきます。ここはちょいと長いですが、原文を引用してみましょう。 『 青銅(からかね)の鳥居をくゞる。敷石の上に鳩が五六羽、時雨(しぐれ)の中を遠近(おちこち)してゐる。唐人髷(とうじんまげ)に結つた半玉(はんぎょく)が渋蛇(しぶじゃ)の目(め)をさして鳩を見てゐる。あらい八丈(はちじょう)の羽織を長く着て、素足(すあし)を爪皮(つまかわ)のなかへさし込んで立った姿を、下宿の二階窓から書生が顔を二つ出して評してゐる。柏手(かしわで)を打って鈴を鳴らして御賽銭(おさいせん)をなげ込んだ後姿が、見てゐる間まにこっちへ逆戻(ぎゃくもどり)をする。黒縮緬(くろちりめん)へ三(みつ)柏(がしわ)の紋をつけた意気な芸者がすれ違ふときに、高柳君の方に一瞥(いちべつ)の秋波(しゅうは)を送った。高柳君は鉛を背負つたような重い心持ちになる。 石段を三十六おりる。電車がごうつごうつと通る。岩崎(いわさき)の塀(へい)が冷酷に聳(そび)えている。あの塀へ頭をぶつけて壊(こわ)してやろうかと思ふ。』 はい、原文に湯島天神とはありませんが、青銅の鳥居があって、階段下は岩崎邸となると、湯島天神ですねぇ。このあたりは、かっては花街ですから、こうして半玉やら、『意気な芸者』なんかが出てまいります。 高柳君はどうしてこの意気な芸者を見て、『鉛を背負つたような重い心持ち』になったのか、試験問題にでも出せそうです。あはは。 そして、高柳君は都電の停留所のところで白井道也先生と出会い、気分を回復します。先生は上野の図書館に調べ物をした帰りと云っています。明治39年にできた帝国図書館でしょうねぇ。過去記事参照ください。 さあて、高柳君が憤慨する『岩崎の塀』ですが、今日はここを訪問してみようかと。今は公園になっている旧岩崎邸庭園です。あーっ、前振りが長かったです。(笑) ここは、岩崎彌太郎(いわさき やたろう)の長男で三菱第3代社長だった久彌(ひさや)の本邸、明治29年に建てられたらしいです。今でもずいぶん広いですが、それでも往時の三分の一の規模とか。高柳君の目に映る姿は、今見るよりも遙かに威圧的だったことでしょう。 「旧岩崎邸庭園」では、入り口の所に一部分だけですけど、当時の塀を再現してあります。それは煉瓦塀なんですけど、上に瓦を葺いて、黒(実際には薄墨色に見える)の漆喰塗りで仕上げてあり、暗く陰鬱な雰囲気で、『壊してやろうかと思ふ』のも無理はない、という感じがいたします。(笑) ただ、建物は洋館といっても、木造2階建てですので、さほどのことはありません。今「旧岩崎邸」では、壁の修理をしているので、足場が掛かっていない所だけをお見せしましょう。 正直、隣接している和館の方が趣があります。 洋館では、建物自身より、
by mitch_hagane
| 2018-05-08 15:26
| 1.写真(カメラ)
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Comments(2)
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by
ROYCE
at 2018-05-08 17:49
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「革を使った豪華な壁紙」に見えたのは革ではなく、和紙に金属箔をはり、版木に当てて凹凸文様を打ち出し、彩色をほどこした「金唐革紙」ではないでしょうか。
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by
mitch_hagane at 2018-05-08 19:18
ROYCEさん、こんばんは。
いやもう、全くそのとおりであります。ご指摘ありがとうございます。 『もともとヨーロッパで壁の内装に用いられた金唐革の技法を和紙で再現した日本独自の「金唐革紙」』『和紙に金属箔(金箔・銀箔・錫箔等)をはり、版木に当てて凹凸文様を打ち出し、彩色をほどこした壁紙』ですね。 本文も修正を入れておきました(^_^;)
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