「ライラの冒険」に痺れたのは、このブログを始めるずっと以前でした。みっちは、このシリーズを児童文学ジャンルでの全時代を通じての「ベスト」と見ています。
今さらですが、「ライラの冒険」His Dark Materials三部作はこの3つです。
黄金の羅針盤 The Golden Compass(1995)...ちなみに英国での標題はNorthern Lightsです
神秘の短剣 The Subtle Knife(1997)
琥珀の望遠鏡 The Amber Spyglass(2000)
このあと、おまけのような掌篇が2つ出版されています。
Lyra's Oxford(2003)
Once upon a time in the North(2008)
The Collectors(2014)はこれに続くものですね。Lyra's Oxfordは「赤」の装幀、Once upon a time in the Northは「青」の装幀だったので、今度は「緑」になるのかと思いましたが、それは外れでした。(笑)「The Collectors」(2014)はもともとは「オーディオブック」として出版されました。その後、Kindleエディション(2015)が追加され、みっちはこのKindleで読んでおります。
そして、ジャーン、かねてから大熱望されている続編「The Book of Dust」ですが、まだ出版されていません。噂では来年くらいか?
これは掌編ではなく、ボリュームのある二部作(?)となるのではとのこと。愉しみであります。
さて、今回の「The Collectors」なんですが、とても内容の紹介は書けません。だって、ものの30分ほどで読めてしまう短編なんですから。(汗)
一つだけばらしてしまえば、今回の主題は「ミセス・コルター」、マリサ・コルターMarisa Coulterです。
そう、ロード・アスリエルの愛人にして、ライラの実の母親であった人。その美貌とは裏腹に、権力への飽くなき執念と、自己中心的な性格が、そしてまた悲劇的だが真に英雄的な最期で、読者を圧倒した人。(愉)
「ライラの冒険」には、作者プルマンのキリスト教という宗教への複雑な思いが、色濃く反映されています。特にカトリック教会への反感ですね。
そこで、みっちはなぜかフェリックス・メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」を連想するのです。メンデルスゾーン家はユダヤ出自ですから、ユダヤ教だったわけですが、父親の意向でプロテスタントに改宗していたのです。フェリックスは熱心なルター派信者であり、「宗教改革」には当然強い思いがあります。
第5番op.107とはいうものの、1829年作曲開始ですから、メンデルスゾーン20歳の時、「若書き」です。色々と不幸な経緯から生前はあまり演奏される機会がなかったらしいですが。
第1楽章の途中で「ドレスデン・アーメン」が引用されます。そう、ワーグナーが「パルジファル」で「聖杯の動機」に使った、あの「ドレスデン・アーメン」です。
ここでいやでもワーグナーの卑怯千万なメンデルスゾーン攻撃が思い起こされます。
みっちが愛聴する演奏は、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルのドイツ・グラマフォン盤です。(1971-72年録音)まあ、この人の演奏に尽きるでしょう。素晴らしい出来だと思います。
過去記事参照: