はい、すでに89曲を選んでおりまして、今回リヒアルト・シュトラウスで8曲を選ぶと、合計97曲となり、次回3曲を選んで、いよいよ完結となる予定です。
さっさと、参りましょう。8曲のうち、2曲は管弦楽曲、6曲はオペラです。作曲年代順に並べてあります。念のため申しますと、みっちがR.シュトラウスのオペラを本格的に聴きだしたのは、まだ最近です。したがって、名盤といわれるものをまだ全ては聴いていないし、実演の方もまだ「アラベラ」と「ばらの騎士」の2回しか観たことがないという「初心者」です。(笑)
まあ、それはシュトラウスに限った話じゃないですけどね。(爆)
はい、では参りましょう、作曲順に並んでいます。
1.R.シュトラウス:家庭交響曲(1902-03年作曲):ルドルフ・ケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン(1972年3月26-30日ドレスデンのルカ教会)EMI
「家庭交響曲」はオーディオに夢中だった頃に、ズービン・メータの指揮ロサンジェルス・フィル(Decca原盤ですが、その頃はまだ国内盤を買っていたから、日本ロンドン・レーベルだったと思います)で初めて聴きました。もちろんLP時代ですよ。メータもあの頃は髪の毛黒々と、いかにもインド気鋭の新鋭という面構えでしたね。曲はシュトラウス自身の家庭を描いたのだそうで、なんと夫婦の愛の営みまで音楽になっているという、まさに「悪趣味の天才」の面目躍如というところ。まあしかし、これ一つあれば、「英雄の生涯」「ツァラトゥストラはかく語りき」とかは、もういいでしょう。どれも同じようなものですから。(爆)
推奨盤はケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン、ドレスデンのルカ教会、70年代アナログ録音と、「黄金の組み合わせ」です。素晴らしい音で愉しめます。文句なしのお薦めです。
2.R.シュトラウス:ばらの騎士(1910年作曲)マルシャリン役シュヴァルツコップ、オクタビアン役クリスタ・ルートヴィヒ、カラヤン指揮フィルハーモニア盤(1956年12月10-15日17-22日ロンドンのKingsway Hall)EMI
はい、ここからがオペラ、まずは「ばらの騎士」からいきます。あれっ、「サロメ」(1905年作曲)と「エレクトラ」(1908年作曲)はぁ?はい、この2つのオペラは有名ですが、少しみっちの趣味と離れています。
実はですねぇ、この有名な「ばらの騎士」も、みっちの趣味と完全に一致しているわけではないのです。まあ、しかし「サロメ」「エレクトラ」に続いて「ばらの騎士」も落としたのでは、シュトラウス・ファンが黙っておりますまい。(笑)
ヴィジュアル盤にお薦めがなく、CDではカラヤンの1956年盤を採ります。この盤は、このころのEMIの例に漏れず、「録音は全く芳しくない」のですが、しかし、しかし、何はともあれ、エリザベート・シュヴァルツコップの歌唱は見事です。これは渋渋ながら認めざるを得ません。(笑)
3.R.シュトラウス:ナクソス島のアリアドネ(1912年作曲):アリアドネ役ルネ・フレミング、ツェルビネッタ役ジェーン・アーチボルド、クリスティアン・ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン(2012年バーデン・バーデン祝祭劇場でのライブ収録)Unitel Classica(Blu-ray盤)
そして「ナクソス島のアリアドネ」へ。
このあたりから、シュトラウスのオペラは、みっちの感覚と波長が合ってきます。特に劇中劇という形式を採ったことで、陳腐なストーリーを一ひねりすることが出来ました。その代わり、ちょっと話が分かりにくくなってしまいましたが。(笑)
推奨盤は、このルネ・フレミングのヴィジュアル盤でしょう。愉しめます。
CDでは、良盤が目白押しです。「ナクソス島のアリアドネ」は、人気高いんですね。しかし、ここではヴィジュアル盤お薦めがあるので、きっぱりとCDを採りません。
マレク・ヤノフスキーの話じゃないけど、やっぱり、R.シュトラウスのオペラは「観る」必要があります。モーツァルトのオペラとは少し違います。それが何故かを明確に述べるのは難しいのですが、やはり、R.シュトラウスには、モーツァルトのように音楽の力だけで押し切れない弱さがあると見ます。
4.R.シュトラウス:影のない女(1917年作曲):クリスティアン・ティーレマン/VPO(2011年7月29日ザルツブルク祝祭大劇場)Opus Arte(Blu-ray盤)
「影のない女」、もの凄く魅力的なオペラで、ただしリブレットは(というか舞台設定などは)恐ろしく魅力がない、ちょうどモーツァルトの「魔笛」と同じです。あれもリブレットは酷いですよね。
ただし、音楽的にはシュトラウスのオペラの中で最高ではないか、と思います。よって、オリジナルの指定にしたがった舞台のヴィジュアル盤は難しいです、リブレットに忠実な演出では、どうしても無理が目立つのです。上記のヴィジュアルお薦め盤では、これを「劇中劇」(「影のない女」を上演しようとしている歌手たちと周りの人びとを描く)という形式で、この難しい問題を打破しています。これはみっちには、目も覚めるような手際の良さと写ります。
CDでは、これまた素晴らしい盤が多くありますが、ここでもヴィジュアル盤のお薦めがある以上、きっぱりとCDは採りません。
5.R.シュトラウス:アラベラ(1932年作曲):ヨーゼフ・カイルベルト/バイエルン国立歌劇場(1963年8月ミュンヘンのPrinzregententheater)Grammophon
「アラベラ」はオペラの性格として「ばらの騎士」と似ています。みっち的には、ほとんど同じようなスタンスで、これを鑑賞しています。
残念ながらヴィジュアル盤お薦めはなし。
よって、CD盤でカイルベルト盤を採ります。
6.R.シュトラウス:平和の日(1936年作曲):ヴォルフガング・サヴァリッシュ/バイエルン放送交響楽団(1988年7月22日ミュンヘン国立劇場)EMI
1936年って、欧州では嵐の前のような、不気味な雰囲気に包まれていた頃、そこで三十年戦争終結の日を描いたこのオペラって、シュトラウスもなかなかやります。プレミアは1938年7月24日のミュンヘン、指揮はクレメンス・クラウス、ヒロインのソプラノはヴィオリカ・ウルスレアク(クラウスの妻)、この公演にはアドルフ・ヒトラーも出席(この年にオーストリアを併合しています)したそうです。
後半の盛り上がり、乗りの良さはベートーヴェンの「フィデリオ」にちょっと似ています。
このオペラの録音は少なく、選択の余地はあまりありません。ヴィジュアル盤はなく、CDではシノーポリ/シュターツカペレ・ドレスデン盤、サヴァリッシュ/バイエルン放送響盤、カイルベルト/バイエルン国立歌劇場盤の3つを聴いています。
カイルベルト盤は音が良くないので、シノーポリ盤かサヴァリッシュ盤のどちらかを選ぶしかないです。まあ、ここでは「引き算」によって、サヴァリッシュ盤を選びましょう。(汗)ヒロインの司令官の妻マリア役はザビーネ・ハスSabine Hass(1949-1999)が歌っています。この人はドイツ・ネイティブのソプラノですが、詳細は知りません。
7.R.シュトラウス:カプリッチョ(1941年作曲):クリストフ・エッシェンバッハ/ウィーン国立歌劇場(2013年6月27日ウィーン国立歌劇場ライブ収録)Unitel Classica(Blu-ray盤)
ヴィジュアル盤がありますので、CD盤は素敵な盤多しといえども、敢えて採りません。
8.R.シュトラウス:メタモルフォーゼン(1945年作曲):ルドルフ・ケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン(1973年1月1-5日ドレスデンのルカ教会)EMI
「メタモルフォーゼン」はシュトラウスのほとんど最後に近い作品です。「家庭交響曲」の頃から、かれこれ40年以上経過しています。その間に「サロメ」から「カプリッチョ」までの主要なオペラ群が作曲されたのです。そして、最後にメタモルフォーゼンの静謐に至る、ここまでの道のりには感慨深いものがあります。
推奨盤はケンペ/シュターツカペレ・ドレスデン、「家庭交響曲」と同じです。また、過去記事は1.と同じです。
付け足し:記事冒頭の画像は、「STRAUSS The Complete Orchestral Works」(WARNER CLASSICS)のジャケットです。このやる気なさ加減は、半端ではありません。(笑)何だよ、これ。
しかし、ルドルフ・ケンペ/シュターツカペレ・ドレスデンの演奏で、R.シュトラウスの主要な管弦楽曲(9CD)を全て聴くことができ、またかってのEMI廉価ボックスとの違いは、新しくリマスターされている(らしい)ことです。(ジャケット下部にも「オリジナルの音源テープから新規にリマスターした」と書かれています)
今回、このセットもので、「家庭交響曲」と「メタモルフォーゼン」を聴きました。そして、その違いは、う~ん、あるような、ないような。(爆)