昨年の東京春音楽祭ワルキューレの公演は、素晴らしかったのです。
さあ、それで今年はジークフリート、チケットを買うときにちょっと不安に思ったのは、ブリュンヒルデ役のエリカ・ズンネガルドErika Sunnegårdh(1966-)さんという歌手を、知らなかったからです。
はい、それで、今日4月7日の公演を聴いたところなんですが、結論は、やっぱり不安的中ということです。(汗)
まあ、ブログであまり厳しい意見は書きたくないのですが、残念ながら、大いに不満だったと書かざるをえない。
この方は、ブリュンヒルデ歌いではないです。ワーグナー・オペラの「重い役」ホッホ・ドラマティッシェ・ファハを歌える人ではない、それははっきりしていると思います。
ああっ、昨年のブリュンヒルデ役キャサリン・フォスターは、現状ベストのキャストでしたからねぇ。それと比較してはちょっと気の毒なのですが。
ヤノフスキーの指揮ぶりも、昨年とは打って変わり、冴えを欠いていました。興が乗らなかったのかもしれません。表情もすぐれない感じでしたし。
はい、こう書いてくると、ずいぶん酷かった公演のように聞こえるかもしれませんが、いえいえ、全般的には、結構愉しめましたよ。
今回は男声陣はおおむね好調で、ことにジークフリートを歌ったアンドレアス・シャーガーAndreas Schagerは良かったです。
エギルス・シリンスのヴォータン(さすらい人)役は、昨年と同じで、まずまずの出来、ミーメ役のゲルハルト・シーゲルは、見かけはミーメぽいけど(すみません-汗)、声はリリックなテノールですね。いいんですけど、ミーメの性格的な表現は今ひとつと見ました。
あと、小鳥の役の清水理恵さん、5階の観客席からの登場でした。(愉)
歌唱は、ちょっと力が入ってましたねぇ。もっと、さらりと流していただいた方が良かったのでは。なにせ、小鳥の役なんですから。
エルダ役のヴィーブケ・レームクールWiebke Lehmkuhl(1983-)さん、良かったです。
もうちょっと聴いてみたい気がしました。
こんなところかな。あっ、そうそう、いつも文句言っている日本語字幕ですが、今回も期待に違わず、最悪でありました。(笑)
まあ、最近はあまり字幕を見ないようにしているので、細かなことは言いませんが、ジークフリートがブリュンヒルデに語りかける肝心な山場で、『俺の女になれ』なんて訳してるようでは、話になりません。信じられないかもしれませんが、本当にこういう字幕が出たんですよ。思わず目を疑うような、大暴訳(?)が続出して、それはそれは非文化的な代物であります。
以下本日の配役表です。
■日時・会場
2016.4.7 [木] 15:00開演(14:00開場)
東京文化会館大ホール
■出演
指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークフリート:アンドレアス・シャーガー
ブリュンヒルデ:エリカ・ズンネガルド
さすらい人:エギルス・シリンス
ミーメ:ゲルハルト・シーゲル
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ファーフナー:シム・インスン
エルダ:ヴィーブケ・レームクール
森の鳥:清水理恵
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下哲