みっちの好きな本、その中の好きな個所の巻(愉) |
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2014年 05月 06日
ちょっと訳あって、最近活動範囲が狭まっているので、好きな本の話題でもいたしましょう。 好きな小説の好きな個所。そう、このブログのタイトル、If you must die, die wellも、そんな一つなんですが、他にも愉しい個所は一杯、それこそ一杯あります。 関連記事:『ブログタイトルIf you must die... 』 ただ、みっちは、何でもないところが好きなんですよ。だから、ちょっと他人に、どうしてそこがいいのか、分かってもらうのが難しいかも。 まあ、ごちゃごちゃ言ってないで、始めましょう。 まずは、エリザベス・コストヴァElizabeth Kostovaの『ヒストリアン』The Historianから。これは、ベストセラーですから、今さら紹介するまでもないでしょうが、名前が明らかにされない、女性の『私』が語る今一つのyet anotherドラキュラ譚です。 いかにも女性作家らしい、素晴らしくロマンチックな小説です。 (ロマンチック過ぎるのが欠点だと言える-笑) みっちが最初に読み始めて印象的だったのが、主人公が父親とEmona(スロベニアSlovenijaの都市リュブリュナLjubljanaの古名)で、社会主義国家には似つかわしくない立派なカフェに入るところです。 時代は、スロベニアがユーゴスラビアだったころ、チトーが大統領として君臨していました。そうそう、リュブリュナの街のシンボルは、『ドラゴン』なんです。主人公が父親に、『ドラゴン・ブック』のことを尋ねるのに、なんて相応しい街なんでしょう。(愉) 主人公と父親は、車で街に入り、リュブリャナ城やら、リュブリャニツァ川に架かる竜の橋を見て車を降り、雨の降る中、お茶の飲めそうなところを探します。 そして、ウェイトレスが海軍のサンダル履きで、同志チトーの陰気な写真が掛かっているような店(笑)を飛び出し、やがて素敵な店を見つけます。 『 He had found the entrance to an art-nouveau teahouse, a great scrolled window with storks wading across it, bronze doors in the form of a hundred water-lily stems. The doors closed heavily behind us and the rain faded to a mist, mere steam on the windows, seen through those silver birds as a blur of water. "Amazing this survived the last thirty years." My father was peeling off his London Fog. "Socialism's not always so kind to its treasures." At a table near the window we drank tea with lemon, scalding through the thick cups, and ate our way through sardines on buttered white bread and even a few slices of torta. 』 『 父は、アールヌーボースタイルの茶房の入り口を見つけたのだ、窓の立派な装飾は、コウノトリが徒渉しているところだし、ブロンズのドアは、無数の睡蓮の形だった。 ドアは私たちの背後で重々しく閉まり、雨は霧のように姿を消して、ただ窓に蒸気を残すのみだった。シルバーの鳥を透して、水が滲んで見えた。 「この店が、この30年間を生き延びたのは驚きだ。」私の父は、ロンドンの霧の染みこんだコートを脱いだ。「社会主義は、自分たちの宝物に対して、いつも親切とは限らないからね。」 窓の近くのテーブルで、私たちは、厚いカップ越しでも火傷しそうに熱い紅茶に、レモンを入れて飲み、バターを塗った白パンにサーディンを載せて食べ、ケーキも数片頂いたのだ。 』 みっち注:ここで追記があります。記事の末尾を御覧ください。 はいっ、どうですか。みっちの感じた東欧の雰囲気、分かりますか。リュブリュナの街の様子を、ネットで調べてみたりすると、一層感興が湧くのです。 ちなみに、窓の装飾のコウノトリですが、こんな感じなのかな、という写真を。 これは手鏡の背に、アールヌーボーのコウノトリを刻んだものなので、ちょっと違いますが、シルバーのコウノトリの窓装飾って、こんな雰囲気かな、ということで、参考用です。 続いて、スティーグ・ラーソンStieg Larssonの『ドラゴン・タトゥーの女』The Girl with the Dragon Tattooからです。 主人公Mikael Blomkvistは、依頼された事件の捜査のために、酷寒のスウェーデンの島で、丸太小屋(?)みたいなゲストハウスを借りて生活を始めます。 この小屋のたたずまいと、その中でMikaelが生活しながら、必死に捜査をする、そのところが大変気に入っております。 (以下、正確な逐語訳ではありません。細かな点が気になる方のために、末尾に原文を添付してあります-汗) 『 大きなキッチンと小部屋が2つ(書斎と寝室)。およそ50平方メートル。キッチン面積はその約1/2で、3方に窓があり、事件に大いに関係する島と本土を結ぶ橋も見える。 電気ストーブ、冷蔵庫、それに本物の木を燃やすストーブが1つ。キッチンには、あと家具として、キッチン・テーブル、大きな食器棚が3つ、キッチン・チェアが少々、ベンチ1つ、新聞用の棚が1つ、隅にデスクに使えそうな小さなテーブル。 幅の狭いドアが2つあって、小部屋へ通じている。右側の小部屋は、奥の壁に接しており、机と一脚の椅子、壁際の棚少々で、一杯だ。 もう一つの部屋は、玄関ホールと先の小部屋の間にある。ごく小さな寝室で、幅の狭いダブルベッドと、ベッドサイド・テーブル、衣装戸棚がある。壁には風景画が掛かっている。この寝室には、玄関ホール側にもう一つドアがある。そこには物置だったところが、シャワー付き風呂場に改造されていた。 』 ここにですね、Mikaelが持ち込んだものはこんなものです。(衣類や化粧品類は別) 本、CD、CDプレーヤー、ノートブック、Sanyoのテープレコーダー(笑−時代設定はいつだったけ?)、Microtekのスキャナー(Microtekなんて2流メーカーの製品なのが、いかにもそれらしくて、おかしい。なお新聞社の写真室で調査をするシーンでは、ネガフィルムのスキャンにAgfaのスキャナーを使っています)、ポータブルのインク・ジェット・プリンター、Minoltaのデジカメ、その他一年に及ぶ追放exile生活を送るに必要なもの。 あと、当然ながらiBook(そんなのあったよね−懐)と携帯電話(おそらくNokia)を持っています。そして、食べるものは、いつもサンドイッチ、それにコーヒーとタバコ。それだけ。(笑) さて、そこで、もし今みっちがMikaelの代わりに、ここに乗り込むとしたら、何を持っていくだろうか、と想像してみる。(笑) あんまり変わり映えしないかな。iBookの代わりにMacBook Air、ミノルタの代わりにニコン位しか思いつきません(笑)。 ちなみに映画は、2009年のスウェーデン版と2011年のダニエル・クレイグDaniel Craig主演のハリウッド版があります。原作の雰囲気は、やっぱりスウェーデン版の方ですね。(笑) 冒頭の写真は、『ヒストリアン』と『ドラゴンタトゥーの女』、ヒストリアンがやけに手ずれしているのに、ドラゴンタトゥーはピカピカなのは、このころからKindle版を購入するようになったからです。(笑) 添付:以下原文。第8章からです。 『 The house consisted of a large kitchen and two smaller rooms, totalling about 500 square feet. The kitchen took up half the space and was quite modern, with an electric stove and a small refrigerator. Against the wall facing the front door stood an old cast-iron stove in which a fire had indeed been lit earlier in the day. Blomkvist looked around. Windows faced three different directions, and from the kitchen table he had a view of the bridge, about a hundred feet away. The furnishings in the kitchen included three big cupboards, some kitchen chairs, an old bench, and a shelf for newspapers. On top was an issue of See from 1967. In one corner was a smaller table that could be used as a desk. Two narrow doors led to smaller rooms. The one on the right, closest to the outside wall, was hardly more than a cubbyhole with a desk, a chair, and some shelves along the wall. The other room, between the hallway and the little office, was a very small bedroom with a narrow double bed, a bedside table, and a wardrobe. On the walls hung landscape paintings. The furniture and wallpaper in the house were all old and faded, but the place smelled nice and clean. Someone had worked over the floor with a dose of soap. The bedroom had another door to the hallway, where a storeroom had been converted into a bathroom with a shower. (中略) His second suitcase was actually a trunk on wheels. From it he took books, CDs and a CD player, notebooks, a Sanyo tape recorder, a Microtek scanner, a portable ink-jet printer, a Minolta digital camera, and a number of other items he regarded as essential kit for a year in exile. 』 以下追記です。 みっち注: "ate our way through..."ってところが、なかなか訳しにくいので、すっ飛ばしてますが(汗)、私たち流に食べた、即ち、気に入ったものを食べた、ってとこですかね。 さらにですね、 みっち同様に、本の中の細かな食べ物描写にこだわる人は、海外にもいると見えて、こんな記事を見つけました。 これは新本の紹介なんですけど、要は小説の中に出てくる食べ物を写真入りで再現してみようという本です。(愉) 本の題名は、『Fictitious Dishes: An Album of Literature’s Most Memorable Meals』。 な、なんと、その中に、他の名作(モビー・ディックのクラム・チャウダーとか、不思議の国のアリスのティーパーティなど)に混じって、『ドラゴンタトゥーの女』に出てくるサンドイッチ(の一つ)も再現されているらしい。みっちだけが気になった訳じゃないんだ。ちょっとホッとしました。(笑) 以上追記終わり
by mitch_hagane
| 2014-05-06 22:10
| 5.本
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