オペラ初心者が「観る・聴く」『ニーベルングの指輪』は何がよいのかぁ?みっち悩むの巻(笑) |
細かな説明は後回しにして、結論だけ先に書きましょう。(なお今回の記事は、jean moulinさんから頂いたご質問に、みっちなりに答えたものです)
選定条件は以下のとおり。
1.オペラの初心者が「観る・聴く」という前提
(モノーラル録音とか、海賊盤、ライブノイズが多いもの、などマニアックなものは除く。普通にステレオ録音で音の良いもの)
2.世間で定評のある、ある程度有名な盤にする
(なあんだ、そんなの買ったの?!とか悪友にけなされないように、まあ定評ある盤から選びます-爆)
3.なるべく安価で入手しやすいこと
(これは説明不要でしょう-笑)
はい、まず「聴く」
みっちのお薦め:
ゲオルク・ショルティ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏、ブリュンヒルデをビルギット・ニルソンが歌った、イギリスDecca盤(1958年~1965年録音)です。
これはまあ、定番中の定番でしょうねぇ。どんなクラシックの案内書にせよ、『指輪』でこのショルティ盤のことが触れられていないのは、ないと思います。それぐらい有名です。
ニルソンの歌唱は素晴らしく、ウィーン・フィルは流石の響き、録音も最高水準をいきます。
ところが、ここで1つ問題。このショルティの『指輪』、今買うと意外に高いんですねぇ。(汗)
指輪全曲で1万5~6千円位します。「ワルキューレ」や「神々の黄昏」だけを分売で買っても、それぞれ5~6千円するし。(汗)
条件の3番目がぁ。(大汗)
今輸入盤で、どんな指揮者のでもよければ、指輪全曲で2~3千円なんてのもありますからねぇ。ちょっと割高に感じられるの、無理はないです。
さぁ、ここで、みっちの裏技です。(笑)
ヒントは、ここ。みっちの過去記事です。
『43枚のCDは法悦か、苦役か(笑)』
昨年2013年は、ワーグナーの生誕200年だったんです。
そのため、ワーグナーのお得なCDセットが、色々なレーベルから、リリースされました。
この中に、デッカのショルティ/ワーグナー・セットがあるのです。
内容はすごくて、な、なんと、「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の指輪4部作に、「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」「トリスタンとイゾルデ」「パルジファル」と、ショルティの指揮したワーグナーのオペラがほとんど入って、なんとCD全36枚。これで、8200円ぽっきりという、びっくり仰天の大バーゲンです。(驚)これは、もう本当に、もってけドロボー状態のたたき売りです。(笑)
ただし海外盤なので、日本語対訳などはありません。
アマゾンのリンクです。↓まだ在庫はありそう。(嬉)無条件でお薦めします。
次は、「観る」
みっちのお薦め:
ピエール・ブーレーズ指揮、パトリス・シェロー演出、バイロイト祝祭管弦楽団の演奏、ブリュンヒルデはデイム・ギネス・ジョーンズが歌った、グラマフォン盤DVDです。(1979年-1980年録画)
これはバイロイトの伝統的な演出を初めて覆したという点で、超有名なものです。1976年の最初の公演の時は、大スキャンダルになりました。(この録画は79-80年のもので、この新演出が円熟した頃のものです)
何しろ、ゲルマンの神々がフロックコートを着て登場し、時代背景も、本来神話の舞台のはずが、イギリスの産業革命の頃を思わせるものとなっています。そしてパトリス・シェローの写実的な・リアルな演出が大変印象的です。(オペラ歌手だって、演出次第で、ちゃんと芝居ができるんですよ、てなことをシェローは当時言ってました)
値段的には、全曲いっぺんに買うと、結構高いので、まず『ヴァルキューレ』だけ買ってみましょう。この『ヴァルキューレ』は、視覚的にも、ジークムント役のペーター・ホフマンと、ジークリンデ役のJeannine Altmeyerが、とても格好よくて、はまり役だと思います。(嬉)
これが、アマゾンのリンクです。これはまあ、日本語字幕があった方が良いかな、ということで日本盤をお薦めします。しかし、ひょっとすると在庫払底で、入手困難かもしれません。(汗)
その時は、程度の良さそうな中古盤を選択という方法もあります。このアマゾンのリンクからなら、中古盤も訳なく買えます。
(日本語字幕にこだわらないのであれば、海外盤ならもう少し廉価で買えます。字幕が独語・英語等になります。あとリージョン・コードが異なるため、日本仕様のプレーヤーで再生できないことがあります。またヨーロッパのDVDは、映像出力がPALになっているのがあります。これも日本のTVでは映らないので注意が必要。)
以上で、みっちのお薦め記事はお終い。
以下は蛇足です。お暇な時にお読み下さい。
質問:『ニーベルングの指輪』は4部作だが、どれから観る・聴くのが良いの?また、どこが観どころ、聴きどころ?
一番取っつきやすいのは「ワルキューレ」でしょうね。
第1幕のジークムントとジークリンデの2重唱は圧巻。トネリコの幹に深く刺さり、誰も抜くことができなかった剣ノートゥングを、ジークムントが引き抜くシーン、二人が抱き合って幕となる(だからジークフリートが生まれるのです-笑)など、見どころ満載です。(愉)
第3場の途中、ジークリンデが夜中にジークムントの寝ているところへ忍んできて、『Schläfst du, Gast?寝ておいでですか、客人よ?』と問いかけるところから聴き出すと、第1幕のラスト、『so blühe denn, Wälsungen-Blut!いざ栄えよ!ヴェルズングの血よ!』まで、もうとても止められません。(汗)
第2幕は、ちょっとかったるいかも知れませんが、第1場後半フリッカがヴォータンに歌う『Deiner ew'gen Gattin heilige Ehre...あなたの永遠なる妻の神聖な名誉を...』のくだりは素敵です。
あと有名なのは、第4場ブリュンヒルデが「戦の乙女」姿で、ジークムントの前に現れ、彼が戦死する運命であると告げるシーンですね。
ジークムントがブリュンヒルデに、お前は人間の愛が分からぬ冷たい女だと言い放つシーン、印象的です。
『So jung und schön
erschimmerst du mir:
doch wie kalt und hart
erkennt dich mein Herz!
いと若く、美しく
魅惑的に、あなたは見えるが
しかし、なんと冷たく、無慈悲なことか
わが心は、あなたを見抜いたのだ!
』
これでショックを受けたブリュンヒルデは、一転して、父ヴォータンに逆らい、ジークムントを応援することになるんですね。
第3幕は有名な前奏曲、ワルキューレの騎行から、ブリュンヒルデとジークリンデの歌、最高の聴き所です。
ジークムントが死んで、生きている甲斐がないと嘆くジークリンデに、ブリュンヒルデが、『Denn eines wiss' und wahr' es immer, den hehrsten Helden der Welt hegst du, o Weib...ただ一つだけ知っておいて、そしていつも思い出して。世界でもっとも気高い英雄をあなたは宿しているのです、女よ...』と語りかけ、ジークムントの折れた剣を与えます。そして、胎内の児をジークフリートと名づけるのです。
そして第3場、ブリュンヒルデとヴォータンの2人の場面、ここはすべて素晴らしいのですが、まあ特に、ブリュンヒルデが、罰を受けて眠らされるのなら、せめて恐れをしらぬ英雄だけが、彼女を目覚めさせるように、岩山を炎で取り囲んでくれと、頼むシーン。
『Auf dein Gebot
entbrenne ein Feuer;
den Felsen umglühe
lodernde Glut;
es leck' ihre Zung',
es fresse ihr Zahn
den Zagen, der frech sich wagte,
dem freislichen Felsen zu nahn!
お父様の指示で
炎を燃え上がらせ
岩の回りを焼き尽くして
その燃え上がる炎で
その炎の舌が揺らぎ
その炎の歯が食いつくように
無分別な臆病者が
畏るべき岩に近づくならば!
』
これに答えて、ヴォータンの別れの歌。
『Leb' wohl, du kühnes,
herrliches Kind!
Du meines Herzens
heiligster Stolz!
Leb' wohl! Leb' wohl! Leb' wohl!
さらば、わが勇敢なる
驚嘆すべき子よ!
お前は、わが心の
もっとも気高い誇り!
さらば!、さらば!、さらば!
』
ここまでくると、以下終幕まで、どうしても聴き通さざるを得ないです。(笑)
はい、ちょっと長くなりました。さて、これで果たして、答えになっただろうか。(疑)
記事冒頭の写真は、本文とは関係なく、鎌倉の荏柄天神社(えがらてんじんしゃ)の梅です。ここの梅は咲くのが早いですね。
もう一枚貼っておきましょう。この寒紅梅は鎌倉一早咲きとのこと。でも、神社の方のお話しでは、今年はこれでも少し咲くのが遅かったそうです。(撮影は2月7日です)写真はいずれも、クリックして頂ければ、拡大してご覧になれます。
お薦めのショルティの36枚組、即注文しました!これで、うっかりワーグナーにはまっても安心です (笑)
何から聴こうか、迷いますが、やっぱり、みっちさんのご指導に従ってワルキューレからにしますね。
取りあえず「聴く」から行ってみます!
まあ、CDやDVDも良いのですが、実際の舞台を観るのがベストですねぇ。(愉)
『ヴァーグナーの舞台で、ヴァーグナーの音楽をきくことは、今日まで日本に絶対に欠けていた非常に重大な空白である。』吉田秀和
そのとおり!(笑)
お教えいただいたショルティのCDつらつら聴いていたのですが、「さまよえるオランダ人」が、なぜか気に入ってしまいました。
来年新国立劇場で上演されるようなので、これでオペラ観劇デビューしようかなとか思っているのですが・・、どうでしょう?
それとも、やっぱりどーんと「パルジファル」?
前々から「鹿鳴館」も観たかったのですが、これは今回日程が合いません・・。
いいんじゃないでしょうか。(愉)
「オランダ人」は、筋も分かりやすく、時間もそれほど長くないので、初心者向きだと思います。ちょっと、暗いお話しですけどね。まあ、でもそれは演出次第だし。
チケットは安い席から売れていきます。発売日を覚えておいて、速攻申し込みが必要です。
あそこは、3階4階席でも、それほど悪くないと思います。みっちは、安い席専門です。(汗)舞台から遠い分は、オペラグラスでカバーします。(笑)
あっ、パルジファルも全然OKですよぉ。('◇')ゞ
ハリー・クプファーの演出、グルネマンツはジョン・トムリンソンですから。みっちも考え中です。(笑)