新国立劇場『コジ・ファン・トゥッテ』は楽しかったですぅ。(嬉) |
まずは舞台装置が凝っている。写真でもお分かりかと思うが、ここはキャンプ場である。山があり、多くの木々がリアルに作られ、本物の水を満たした池がある。『Camping Alfonso』と書かれた、いかにもリゾートっぽい管理棟にカフェ、キャンピングカーが停まり、キャンプ場全体を示した、立派な立て看板の案内図まで立っているのだ。(驚)
こうした仕掛け全体が、回り舞台に乗っており、場面転換に応じて、回転する。舞台装置だけ見ていても、なかなか飽きない。よくできています。(嬉)
『コジ・ファン・トゥッテ』の、もの凄く、端折った筋書き:
2組の恋人が登場。(フィオルディリージとグリエルモ)(ドラベッラとフェルランド)、後は女中のデスピーナ、シニカルな哲学者(この演出では、キャンピング場の主人だが-汗)のドン・アルフォンソ。
話の核心は、「女の貞節は信頼出来るか?」について、ドン・アルフォンソがグリエルモ、フェルランドと賭けをすること。
グリエルモとフェルランドは、変装して(この演出では、暴走族の兄ちゃん風になる-笑)それぞれが、相手の恋人を口説くのである。
結果は、ドラベッラがまず陥落、フィオルディリージも、とうとう陥落して、『女はみんなこうしたものCosi fan tutte』となる訳です。(笑)
さて、みっちは、コジ・ファン・トゥッテを生で見るのは初めて。いつものワグナー・オペラと勝手が違うので、少々不安でした。で、感想ですが、とても良かったぁ。(嬉)
①演出のダミアーノ・ミキエレットDamiano Michieletto、ヴェネツィア生まれの方のようですが、流石です。ダ・ポンテのリブレットは、大時代すぎて、現代の感覚にはそぐわないと、みっちは思っていました。それが、こんな現代の舞台で、違和感なく見ておられるのが不思議です。最後のフィナーレでは、ハッピーエンドにならず、恋人たちは憤然として立ち去るのですが、納得の演出でしたね。
②最初にも触れたとおり、観客を退屈させない舞台装置は見事です。しかも、ただよく作ってあるだけではなく、歌手たちの演技としっかり結びついていました。(夜のキャンプ場で全員がポケットライトを手にするシーン、主役たちが池に素足で入るシーンなど)
③歌唱・演奏もなかなか、よろしかったと思います。フィオルディリージ役のミア・パーション、初めて聴きましたが見事でした。フェルランド役のパオロ・ファナーレ、アフフォンソ役のマウリツィオ・ムラーロ、いずれも手慣れた感じの歌いぶりでしたね。
④以下は素人の戯言です。
序曲が始まった時、あれっと思ったのは、今までCDやDVDで聴いていたような、軽妙・洒脱・エレガンス、といった感じが、薄かったから。指揮者の好みなのか、あるいは...(汗)
デスピーナの天羽明恵さん、とても良かったのだが、みっちはムーティのザルツブルグ公演DVD(注)を見ていたので、キャサリーン・バトルのデスピーナの印象がぁ...(以下省略されました-笑)
注:Riccardo Muti/Wiener Philharmoniker
Mozart: Così fan tutte, K588
Stage Director: Michael Hampe
Margaret Marshall, Ann Murray, James Morris, Francisco Araiza, Kathleen Battle & Sesto Bruscantini
Salzburg Festival 1983
付け足し:
『コジ・ファン・トゥッテ』というイタリア語の解説は、以下の過去記事を参照してくだされ。
『キミはコジ・ファン・トゥッテCosi fan tutteの意味を文法的に説明できるか?(笑)』
冒頭画像が今回の公演のパンフレット。
演奏日:2013年6月3日 於:新国立劇場
フィオルディリージFiordiligi:ミア・パーションMiah Persson(スウェーデン ソプラノ)
ドラベッラDorabella:ジェニファー・ホロウェイJennifer Holloway(米メゾソプラノ)
デスピーナDespina:天羽明恵Amou Akie(日ソプラノ)
フェルランドFerrando:パオロ・ファナーレPaolo Fenale(伊テノール)
グリエルモGuglielmo:ドミニク・ケーニンガーDominik Königer(独バリトン)
ドン・アルフォンソDon Alfonso:マウリツィオ・ムラーロMurizio Muraro(伊バス)
指揮イヴ・アベルYves Abel
東京フィルハーモニー交響楽団
演出ダミアーノ・ミキエレットDamiano Michieletto