なぜ、エレーヌ・グリモーのアルバムを聴くか、その答えは...、の巻。 |
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2018年 07月 16日
楽曲の選択、その選び方、表現方法、これらの要素がこれほど、みっちの心の琴線に触れる人は他にいないからです。 そう、こんな感じです。 「And everyone gets the Devil he deserves.そして、人はだれも自分に相応しい悪魔を手に入れるのさ」Arturo Peréz-Reverte「The Ninth Gate」(1993)の結語より 今回のアルバム「レゾナンスResonances」ですが、そもそもresonanceって、どういう意味なのでしょうか。英語の辞書を引くと、こんな語釈が出てきます。「the special meaning or importance that something has for you because it relates to your own experiencesあるものが自分にとって特別な意味や重要性を持つこと、なぜならそれが自分自身の経験に関係しているから」 そう、あくまでも「自分の」経験に関係しているから、感動するのです。音楽を聴く感動って、全く個人的なものであると思います。こうしてネット上でブログを書き、今までに多くの素晴らしい方(クラシック音楽ファン)を知ることができましたけれど、けっきょく分かったことは、まったく同じ感動を共有することはほとんど不可能で、それは個人のプロパティに帰属するのだ、ということでした。 さて、このアルバムに集まった曲は4つ、これらです。 ・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310 ・ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1 ・リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178 ・バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56 これらの楽曲は、一見ルーズな集まりに見えて、実は背後に密やかな糸が繋がっています。 まずはベルクの最初の作品、ピアノ・ソナタ、エレーヌ・グリモーが子どもの頃さらった思い出が語られます。『私は11歳、弾けたのはたぶん1ページと半分ほどだったわ。その曲が何なのか知らなかったけれど、読めて弾ける限りのところが私を魅了したの。』 ベルクのソナタはロ短調が主調ですが、すでに調性の限界まで来ています。 作品1ということから、想像されるような簡単な曲ではないですね。まるでロマンティック・オペラのドラマチックなシーンのような切迫性を示し、『それは1楽章ソナタという最小の型に鋳込まれたミュージック・ドラマなのです』 ここから、同様にロ短調の単楽章のピアノ・ソナタを書いた、リストへと糸が繋がります。 それは、「ワグネリアン」と呼んでよいほどの、巨大な構成です。リストとワーグナーとの、切っても切れない関係が想起されます。リストは、自分の娘コジマの行動をついに理解できなかったようですが、たしかにリストがいなかったら、ワーグナーのオペラもどうなっていたことか。 以下追記です。 なお、リストのロ短調ソナタについては、過去記事があります。例のブラームスとのエピソードです。 以上追記終わり。 さらに「レゾナンス」はモーツァルトへ飛びます。モーツァルトこそは、そのオペラに天分の神髄を示した人、そのピアノ・ソナタ イ短調 K.310は、とくに中間楽章において、あとのベートーヴェンのピアノソナタ第17番 ニ短調 作品31-2(皮肉なことに、「テンペスト」と呼ばれる)の関連へ繋がります。この両者は『まるで兄弟か姉妹のようなのです、モーツァルトのソナタはやがて来るべきものに満ちています、それは主観的な言語を話すのです』 最後の「レゾナンス」はオーストリア帝国ハンガリー公国の残影、バルトークです。ルーマニアのフォーク・ダンスが、かくも直截に響くものなのか、感慨に耽りつつ、旅は終わります。 う~ん、このアルバムはよかった、いろいろと考えさせられることが、多くありました。 「レゾナンス」DGG盤です。 録音:2010年9月 録音場所:ベルリンRundfunk-Zentrum 録音技術(Tonmeister):Daniel Kemper
by mitch_hagane
| 2018-07-16 18:14
| 3.音楽
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