フィリップ・プルマン「ダストの書」全3部作の今後は「秘密の連邦」の行方に尽きるのかも、の巻。 |
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2017年 11月 11日
「ダストの書」第1巻「美しき野性号」を読んでいくと、途中からフェアリー・テールというか、ファンタジーの要素が強くなります。 「黄金の羅針盤」シリーズはもともとファンタジーじゃないかぁ、という指摘はともあれ(笑)、途中からその傾向が強くなるのは間違いありません。 ところでファンタジーというジャンルでは、「超自然的」な出来事、事象、約束事が現れます。早い話が、妖精なんかが現れれば、ファンタジーです。ファンタジーとSFとは異なるのです。 何いってるんだい、SFだって、絵空事じゃないか、という意見もあるでしょうが、SFの場合は、いちおう「合理的・科学的」な説明がなされる、という前提です。現実の科学では、未だ証明されていない、あるいは実現されていない技術が出てくるのは、許されます。 かって、アイザック・アシモフはこう云っています。 「…science fiction, given its grounding in science, is possible; fantasy, which has no grounding in reality, is not.」(「SFは科学に基盤を置いており、実現可能なものだ。ファンタジーは現実への基盤はなく、実現の可能性はないんだよ。」) まあ、アシモフの書くSFはそうだったかもしれませんが、このジャンルの作品にも色々ありますからねぇ、こうまではっきり言い切れるかどうか。(汗) 例えば「スター・ウォーズ」シリーズ、これは「SF」でしょうけど、あの「フォース」の説明は一体どうしてくれるんだい、と絡まれると、物語の中核部分なだけに、説明に窮します。(笑) 話が逸れ気味なので、ここで「美しき野性号」中のファンタジー要素の件に戻りましょう。 なるべく、ネタバレがないように(少ないように)、説明をしたいと思います。 早い話が雨が降り、テムズ川が溢れて洪水になるのですが、どうもこの洪水はただの水害ではなさそうなのです。オックスフォードが水浸しになるどころか、イギリス南部全体が被災し、見渡すかぎりアマゾン川かナイル川、または大海原になってしまうという。(驚) 「That's like the bloody German Ocean out there.」(「まるで一面、あのいまいましいドイツ海(北海)みたいだわ。」) 洪水の始まる前に、ジプシーのファーダー・コーラム(「黄金の羅針盤」でセラフィナ・ペカーラの元恋人と紹介されました)が主人公マルコム少年にこう警告します。 「ここ百年ばかり誰も見たことのないような大きな洪水が来るだろう、それもただの洪水ではない。川という川は決壊し、多くのダムが崩れ去るだろう。...さらに悪いことには、水の中には何かしら不穏なものがあるのだ、それは空の中にもだ。予兆を読めるものには、それらは明瞭ではっきりとしている。」 何かしら不穏...のところは、原文ではthere's things in the water been disturbed...ってなっているんですがね。はて、これは。(疑) そして、予言どおり大洪水が発生します。 「ニュージェント卿はこの大洪水がすべて自然のものかどうか疑わざるを得ないのだった。彼にせよ彼のジプシーの仲間にせよ、この氾濫が天候以外の不思議な力によるらしいと分かっていた、なぜなら不思議な幻影が思いがけぬやり方で現れたからである。ある地点では、全ての陸地が見えなくなり、大洋の中にいるように思えた。また、ニュージェントはたしかにワニに似た生物を見かけたように思えた、少なくともボートと同じくらいの長さのそれが、正体を完全に現すことなく影を見せたのである。そしてある夜には、水面下を動くミステリアスな明かりがあったし、オーケストラが音楽を奏するのを聞いたが、それは誰も今まで聞いたことのないものであった。 ほどなく、ニュージェントは彼のジプシーの仲間がその現象を説明するフレーズを使っているのを耳にした、それは聞いたことのないフレーズであった。 彼らは洪水とその全ての効果を秘密の連邦のせいとしていた。彼はそれがどういう意味か尋ねたが、それ以上の答えはないのだった。」 ニュージェント卿は、今回「味方」と思われる陣営のボスなんです。そして、この「秘密の連邦」the secret commonwealthってのが、謎の核心であります。(笑) そして、「ダストの書」第2巻はすでに完成しており、その題名は、まさにこの、「the secret commonwealth」であるということになっております。(愉) 記事冒頭の画像は、挿絵なんですが、Kindle版にはなかったので、ハードカバー版に入っているのかどうか、定かではありません。絵はアスリエル卿が腕にライラを抱いて、月光の下を散歩しているシーンです。
by mitch_hagane
| 2017-11-11 16:01
| 5.本
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