はい、何はともあれ、この画像をご覧ください。
これはみっちが作ったものですが、まず左の縦軸に有名作曲家がハイドンからブラームスまで7人、時代順に並んでおります。
そして、横軸は、室内楽のジャンルなんですが、ピアノ・ソナタ、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ・トリオ、弦楽四重奏、ピアノ四重奏、五重奏、六重奏、の順に並んでおります。
今さらこんなことを書くのもなんですが、それぞれの楽器編成はこうです。
ピアノ・ソナタ:ピアノ独奏
ヴァイオリン・ソナタ:ピアノ、ヴァイオリン
チェロ・ソナタ:ピアノ、チェロ
ピアノ・トリオ:ピアノ、ヴァイオリン、チェロ
弦楽四重奏:ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ
ピアノ四重奏:ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ
五重奏:ヴァイオリン2本、ヴィオラ2本、チェロ(弦楽五重奏曲の場合)
六重奏:ヴァイオリン2本、ヴィオラ2本、チェロ2本(弦楽六重奏曲の場合)
さあそれで本題、◎○△×の記号はみっちが付けたのですが、これが世間での人気度合いを示すのです。(笑)
例えばですね、ピアノ・ソナタのジャンルでは、ベートーヴェンの人気が他を圧して高く、続いてハイドン、モーツァルト、シューベルトが続き、そのあとをシューマン、ブラームスが追う、とこうなっております。
これがヴィオリン・ソナタのジャンルとなると、ベートーヴェンの一番人気は変わりませんが、そのすぐあとを追うのはモーツァルトとブラームス、ちょいと離れてシューベルトとシューマン、という訳です。
チェロ・ソナタになると、ベートーヴェンとブラームスが覇を競います。
それにしても、室内楽におけるベートーヴェンの人気は圧倒的です。ピアノ・ソナタから弦楽四重奏まで人気トップを維持し、トップでなかったのは、ピアノ四重奏曲(ブラームスがトップ)、五重奏曲(モーツァルトがトップ)、六重奏曲(ブラームスがトップ)、だけです。
またこうしてみると、ブラームスの室内楽ジャンルでの強さも明らかですねぇ。特に彼はベートーヴェンがあまり書かなかったジャンルで頑張った、という感じでしょうか。一方で、弦楽四重奏曲などでは、書き上げるまでさんざん苦労するのですが、その努力はあまり報われなかったという感じです。(すみません)
あと、ジャンル同士の人気度合いですが、こういう序列になります。
ピアノ・ソナタ>>弦楽四重奏>ヴァイオリン・ソナタ>五重奏>ピアノ・トリオ>>チェロ・ソナタ>ピアノ四重奏>六重奏
何と云っても、ピアノ・ソナタの人気が抜群です。弦楽四重奏曲を大きく引き離しています。そして、ヴァイオリン・ソナタ、五重奏、ピアノ・トリオ、あたりまでが、そこそこ人気のあるジャンルで、それ以降はだいぶ人気が落ちます。
この間、みっちはピアノ・トリオとか、ピアノ四重奏の特集をやりましたが、この人気分布からすると、何というか、「保守本流」ではないですなぁ。(笑)
といったところが、今回の「室内楽ジャンルの人気曲の傾向を探る」特集でした。
最後に今回のネタというか、元になったソースをご紹介。
Presto Classicalという、イギリス本土の中央部、ウォリックシャーという町にあるレコード屋の販売商品のデータベースを使って、各ジャンルの現行盤枚数を勘定したのです。
このレコード屋は、Googleストリート・ビューなんかで見ると、日本の地方都市によくある普通のレコード屋さんって感じの店構えですが、決して侮れません。ここのデータベースは、他のどこよりも(少なくとも、日米英独のアマゾン、HMV、タワーレコードよりはずっと)優れています。
値段も安いです。ものにもよりますが、イギリスからの郵送料を払っても、日本で買うよりずっと格安というのは、よく経験します。特に日本アマゾンでは、どこぞのヘボ評論家先生の妄言に惑わされてか、異常高値の盤が散見されます。世界の常識を知る上で、ここのサイトは貴重です。
ちなみに、実データはこれ。数字は発売されている現行盤CDの枚数です。もちろん、重複を含みます。
記事冒頭の画像は、いつもの近所の植物園ですが、今日はバラまたバラの競演、あたりはバラの香りでむせかえるようでありました。(愉)