リヒアルト・シュトラウスのオペラ「ナクソス島のアリアドネ」をBlu-rayで観ました、の巻。(愉) |
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2015年 12月 21日
主な配役は、プリマドンナ・アリアドネ役ルネ・フレミングRenée Fleming(1959-)、作曲家役ゾフィー・コッホSophie Koch(1969-)、踊り子ツェルビネッタ役ジェーン・アーチボルドJane Archibald(1977-)、テノール歌手・バッカス役はロバート・ディーン・スミス(1956-)というところ。みっちは、スミスを今年2015年の東京春祭「ワルキューレ」で2回、ジークムント役を聴いています。良かったですね。 そうそう、ゾフィー・コッホはハリー・クプファーの「ばらの騎士」のオクタヴィアン役で出てましたね。ズボン役がよく似合います。 指揮はクリスティアン・ティーレマン、オケはシュターツカペレ・ドレスデンです。 この「ナクソス島のアリアドネ」というオペラ、ネット上でも情報が少なくて、どういうオペラなんだか、あまりよく分からないと思います。少し解説してみましょう。 そもそも、アリアドネって、誰やねん。 予備知識として、これが分からないと、ちょっと困ります。 グレコ・ローマンの神話で分からないことがあったら、これを引きましょう。 高津春繁先生の「ギリシャ・ローマ神話辞典」岩波書店刊です。 なになに。 『クレータ王ミーノースとパーシパエーの娘。テーセウスがこの島に来た時、彼に恋し、妻となる約束で、ラビュリントスの道案内の糸玉を与え、ミーノータウロス退治を助けた。彼とともに遁れてナクソス島に着いたとき、彼女はアルテミスに射られて死んだとも、テーセウスが彼女を置き去りにし、そこへディオニューソスが来て彼女に恋し妻とし、結婚の贈物として彼女に与えた冠を星座に変じたとも伝えられる。』 ああっ、迷宮に入るとき迷わないように、入り口から糸をたらしておいた話ね。知ってる、知ってる。(愉) えーっ、それでこのオペラでは、この後の方の設定が採られています。つまり、アリアドネは、テーセウスにうまく利用され、ナクソス島に置き去りにされた、というところから始まります。 それにしても、テーセウスってアテネの国民的英雄なんですけど、悪い奴ですな。で、どうしてアリアドネを捨てたかというと、高津先生の辞典によれば、もうすでに恋人がいたからとか、ディオニューソスが彼女を望んだから、とか書かれています。ど~も、計画的に彼女を利用して捨てた、という雰囲気が強いですなぁ。 ホメロスの「オデュッセイア」でも、オデュッセウスはスケリア島に難破し、その島の王の娘ナウシカアーに助けられます。ナウシカアーはオデュッセウスにほのかな恋心を抱くが、オデュッセウスは故郷に残した妻(ペーネロペー)のことを語り、ナウシカアーのエピソードはこれで終わります。う~ん、えらい違いだぁ。 さて、まあアリアドネの知識は得られたとして、オペラの筋書きに参りましょう。 このオペラは、登場人物が多いので、要注意です。 テノール歌手・バッカス(テノール) プリマドンナ・アリアドネ(ソプラノ) 作曲家(ソプラノ) 音楽教師(バリトン) 踊り子ツェルビネッタ(コロラトゥーラ・ソプラノ) 舞踏教師(テノール) 4人の求婚者 3人のニンフ 家令 まだ、いるのですが、まあこれ位分かっておれば、理解できます。肝心なところを列記しておきましょう。 ①これは「ウィーンで一番金持ちの館」で行われる劇中劇であること。プロローグで劇の始まる前のドタバタが描かれ、一幕のオペラで劇そのものが上演されます ②アリアドネと作曲家、ツェルビネッタの3人のソプラノがキーになります。作曲家はいわゆるズボン役(女声の男役)、ツェルビネッタはコロラトゥーラ・ソプラノです ③アリアドネ陣営の人たちとツェルビネッタ陣営の人たちの2つがある。アリアドネ側は、バッカス、アリアドネ、作曲家、その音楽教師、3人のニンフなど、ツェルビネッタ側はツェルビネッタ、その舞踏教師、ツェルビネッタに求婚している4人など。 家令Major-Domoというのは、この館を取り仕切る人物で、全権を持つ。話し役です。この盤では、ルネ・コロが演じていて(すごく決まっている-笑)懐かしかったです。 ④オケはとても小編成です。指定では36人となっています。 はい、前提はこれ位にして、梗概シノプシスを始めましょう。 プロローグ 場所は「ウィーンで一番金持ちの館」、おりしも豪華な食後の宴post-prandialの準備中。 演し物は2つあり、オペラ「ナクソス島のアリアドネ」と、ツェルビネッタを中心とした道化コメディであるらしい。 作曲家が現れ、自分のシリアスなオペラの後に、滑稽なブッファが続くというので、むくれるが何とかなだめられる。 そこへ家令が現れて、時間がないので、なんと2つを同時に演ってほしいという主人の命令を伝えてくる。(この主は姿を見せない。なお、このあたりティンパニの連打がオーディオ的に面白いです) 作曲家は絶望して自殺も考えるが、ツェルビネッタが巧みになだめ(この作曲家とツェルビネッタの二人のやりとりは聴き所です)、結局これに従うことになり、作曲家の一人舞台(これまた聴き所)となった後、オペラが始まろうとするところで幕。 オペラ 場所は寂しい島の洞窟。もちろんナクソス島です。この盤は現代的演出なので、Insel(独語で島)と書かれた木箱が置かれています。 3人のニンフの3重唱でアリアドネの運命を嘆く。寝ていたアリアドネが目覚め、悲嘆にくれて、死に憧れる。 ツェルビネッタ一行が現れて慰めるが効果はない。 アリアドネは相変わらず、死への憧れを歌う。 また、ツェルビネッタ一行が現れて慰めようとするが、効果はない。 アリアドネは一人舞台で、死の使いヘルメスへの憧れを歌う。何となく「バラの騎士」のマルシャリンの嘆きを思わせます。 またまた、ツェルビネッタ一行が割り込んでくる。(笑) 踊りの後、ツェルビネッタは一人舞台となり、人生と愛を歌う。(オーディオ的にはここでピアノ伴奏と、コロラトゥーラに注意です-笑)ジェーン・アーチボルドという人、アメリカのソプラノで、初めて聴いたのですが、なかなかと思いました。何といっても、舞台がうまいです。 続いてツェルビネッタ一行の踊りが終わると、トランペットが響き、3人のニンフの三重唱の中、若い神バッカスが登場します。いよいよオペラは後半の山場に入っていきます。 アリアドネはバッカスを死の神ヘルメスと思い、バッカスはアリアドネを魔女キルケと思うが、やがて誤解は解ける。二人の二重唱、最後の聴き所です。 なお、ヘルメスって、死の神だったけぇ、ということなんですが、またまた高津先生に依れば、『彼はまた夢と眠りの神であり、霊魂を冥界に導く役目をもち』とあります。 また、キルケですが、「オデュッセイア」でオデュッセウスが上陸した島に、キルケの宮殿があり、ここで歓待されて酒を飲んだ部下がみな豚に変わります。飲んべえは気をつけんといかんです。(笑) ルネ・フレミングですが、彼女はもともと美貌を売り物という人ではなく(すみません)、お年もお年であるし、Blu-rayの精細クローズアップはなかなか苦しいところですが、(汗)しかし、しかし、歌唱は見事であります。(嬉) そして、いよいよ最後のシーン、バッカスとアリアドネの感動的な2重唱(みっちは「ジークフリート」のラスト、ジークフリートとブリュンヒルデの2重唱を思い起こしました)の後、バッカスがアリアドネに歌う。 Und eher sterben die ewigen Sterne, いっそ、かの永遠なる星々も、死に絶えよ と歌うとき、あれほど平凡な容姿と見えたルネ・フレミングが、美人揃いの3人のニンフの誰よりも美しく輝き、鳥肌が立つ。そうでなければ、あなたはオペラのマジックというものとは縁なき衆生です。(笑) オペラの説明が多くて、Blu-ray盤の説明が至らなかった。(汗) 胸躍り、血騒ぐ、愉しみで一杯の盤だと思います。(嬉) 「ナクソス島のアリアドネ」はベームの一連の録音・録画が有名で、みっちもその一部はもう手に入れているのですが、その話は、また今度ということで。(笑)
by mitch_hagane
| 2015-12-21 16:31
| 3.音楽
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