かれこれ30年ほど前に、みっちは一冊の本を読んだ。
"Dream Park" 著者はLarry NivenとSteven Barnesの共著である。
その頃は、みっちは洋書を自由に買える環境はなく、(そんな環境の人は少なかったと思う)読んだのは翻訳書で、『ドリーム・パーク』 (1983年) (創元推理文庫)ラリー・ニーヴン&スティーヴン・バーンズ (著), 榎林 哲 (翻訳)でした。そして、非常に感銘を受けた。(愉)
これはですねぇ、未来のテーマパークで行われる、実体験型ロールプレイング・ゲームlive action role-playing games (LARPs)が題材なんです。
原著が出たのは1981年ですから、そう、パソコンの黎明期です。まだパソコンという呼び方はなくて、マイコンだったなぁ。そして、みっちはロールプレイングゲーム(RPG)というものの存在を知ったのです。
ロールプレイングゲームのことを詳しく説明している余裕がないので、初耳の方は、
このあたり を参照してください。
live action role-playing games (LARPs)については、英語だけど、ここかなぁ。
日本語版ウィキペディアの同項目の情報は、全く不足ですから。(汗)
さて、『ドリーム・パーク』では、このLARPsを背景に、テーマパークのセキュリティ主任Alex Griffinが殺人事件の捜査を行うという話です。Alexは捜査の必要上、身分を隠してゲームに参加します。
ここで背景となるゲームは、ヴードゥーのマジックや呪術が支配する南の島を舞台に、冒険また冒険、最後にハワード・ヒューズの作った巨大飛行艇スプルース・グース号が登場して、これを何とか離陸させて、ゲームに勝利する、というストーリーでした。
この時読んだ翻訳書はもうどっかへ行ってしまって、詳細は忘れちゃっているので(汗)ので、済みませんが、これ以上は書けません。
そいでもって、何でこんな本のことを思い出したの?
それはそれ、blog仲間のyomodaliteさんがいけないのです。(笑)
ハワード・ヒューズのことを採り上げられて、みっちにも、ヒューズのことを知っておるかとお尋ねだったので、つい思い出したという訳。(汗)
yomodaliteさんのブログの参照は、
ここ です。
そんじゃあ、思い出したついでに、もう一度読んでみるか、とこうなった。
改めて調べてみると、ドリームパークは、続編も出ていてシリーズになっている。
Dream Park (1981年)
The Barsoom Project (1989年)
The California Voodoo Game (1992年)
The Moon Maze Game (2011年)
こうなってくると、Dream Parkをまた読むのも芸がないだろうということで、続編の方を読むことにした。
第2作The Barsoom Projectはエドガー・ライス・バーローズの火星シリーズを思わせる題名で、とても魅力的だが、Amazonの評価は芳しくない。
最新作のThe Moon Maze Gameは、主人公Alex Griffinの息子が出てくるらしく(世代交代ですなぁ)、ちょっとこれは違うかなと。
それで第3作のThe California Voodoo Gameを選びました。これって、テーマからして、第1作のDream Parkと似ていそうで、Amazonの評価もまあまあだったから。
Kindle版ですから、マウスを1クリックして買った瞬間から1分後には、もう読み始めていました。
いい機会なので、Kindle版電子書籍を読むときの、最近のみっち流を紹介しましょう。
まず、何はともあれ、amazon.comのアカウントを使って、Kindle版書籍をワン・クリックで購入します。
自動的に、Kindle3その他の端末に書籍がダウンロードされます。これはいつやっても、感動だなぁ。
次に、みっちの持つ全ての電子書籍端末を起動します。
Kindle3、Nexus7(2013)、iPad4 Retina、それにiPhone5sの4台です。
(言うまでもないですが、真正のKindleであるKindle3以外は、Kindleアプリを使います。Nexus7のKindleアプリは、非常に機能不足でがっかりだったのですが、最近バージョンアップされて、iOS版に見劣りしなくなりました-嬉)
このうちiPhone5sは非常用で、普段は使いません。(画面が小さいからね)
Kindle3、Nexus7、iPad4は常時電気を入れて併用する。これが2014年型読書ですよぉ。一冊の本を読むのに、1台の電子書籍端末では不足でして、最低2台は必要。理想的には3台ですね。
そして、メインのリーダーは、なんと一番ローテクのKindle3です。どうしてか、というと、一番電気を食わないので、付けっぱなしにしておいて、何ら問題ないこと、画面がギラギラしてなくて、目が疲れないことですね。
で、他の2台の端末は、本の他の場所の参照、検索などに使います。例えば"we're going head-to-head with the Troglodykes in the California Voodoo Game."
なんてくだりで、あれっ、Troglodykesってなんだっけ?、と疑問が生じたりしますよね。
辞書を引いて出てきそうな感じはしないので、すぐにiPad4端末(のKindleアプリ)を開いて、Kindleの検索機能で、Troglodykesを調べます。はぁ、主人公の敵方チームの名前ね。なるほど、なるほど。とこうなる。つまりメイン端末で、じっくり一歩一歩読み進む傍ら、同じ本の違う個所の検索とか参照とかは、他の端末を使うわけ。こうすると、猛烈に効率的なんです。
こうした、手に取って使う閲覧端末は、パソコンのマルチ・ウィンドウより、人間的で使いやすいです。
あと、もちろん、これ以外にパソコンが必須ですね。パソコンの目的は、Google Chromeを使った各種インターネット検索と、辞書ソフトを使った単語引きです。
辞書は色々持っているけれど、英英辞典が主体です。みっちのメインは、何ということはない普通のLongman Dictionary of Contemporary English(4th Edition)です。
電子書籍端末にも辞書はインストールされていますが、ここでは辞書引きはやりません。キーボードがないので、効率が悪いからです。
こうしたみっち流の、デスクトップ風景を写真で見てみましょう。
中央にKindle3、これがメインの閲覧端末です。その右のiPad4では、ただ今、小説中の検索を実施中。左のNexus7(2013)では、小説の今読んでいる部分でないところ(例えば前書きなど)を参照するときに使います。こういう検索やら参照を、メインの閲覧端末でやってしまうと、読書のペースが乱れるのです。
その上のキーボードは、みっちのメインパソコン(何ということはないDellのタワー型です)用なのですが、東プレ(Topre)のRealforceシリーズです。英単語の辞書を引いたり、Google検索をする時には、必ずパソコンを使います。非常に使用頻度が高いので、良いキーボードは必須です。
このRealforceキーボードは、ちょっと値段が高いですが、感触・ストロークの長さ・静音性・カスタマイズ性・耐久性などの点で、まずは最高のキーボードでしょう。
みっちは、CtrlキーがAキーの左にくる配置を好みます(普通はCaps Lockですよね)ので、そのようにカスタマイズしてあります。このカスタマイズに合わせた専用のキートップも標準装備なのです。(嬉)
みっちは、自宅用だけでなく、会社で使っているパソコンにも、これと同じキーボード(の色違いで目立たない奴-汗)を付けています。
さて、ちょっと長くなりましたが、『The California Voodoo Game』のさわりのところでも、紹介しますかね。
Dream Parkは2051年の出来事という想定だった。本作はその8年後、2059年の事件となっている。
まず冒頭、舞台はドリーム・パークのハイアットホテルのロビー。そこに巨大なクリスタル・メイズ(迷路)が置かれ、ゲームが始まるところである。参加チームは2組。ロアーマスター(Lore masterチームのリーダーで他のゲーマーたちを選抜し、ガイドをする役目)Tammi RomatiのチームTroglodykesと、Acacia Garciaをロアーマスターとするカリフォルニア大のチームである。
はい、ゲームは進んで、アカーシアのチームは、すでに4名のチームの内2名を失っている。残っているのは、アカーシア(戦士Warrior)とキャプテン・サイファー(魔法使いMagic User)の2人だけだ。
ここで、アカーシアは逆転を狙って、謎解きのチャレンジを行う。以下抄訳です。
『
「聞いて」とアカーシアは急いで言った。「私たちはここであと1分もすれば、死んでしまう...」
「でも、キャプテン・サイファーが間一髪勝利をもたらすsave the dayと思っているのかな?」
「そうよ」彼女は疲れた様子で言った。「キャプテン・サイファーは勝利をもたらすわ。これを見て。」
彼女はスターシップ・トルーパーズ(Starship Troopers-みっち注参照)のテーマの最初の5節を、壁に埋め込まれたクリスタル・キーボードで打ち込んだ。隠しプレートが上にスライドした。
現れたのは、古めかしいコンピュータ・コンソール・キーボードだった。
』
さあ、これを使って謎解きです。コンピュータ画面に表示された謎は...
『
「狩人がある朝、家を出た。彼は南に1マイル歩いたが、何も見つからなかった。
彼は西に1マイル歩き、1羽の鳥を見かけて、追いかけて倒しruns it down、夕食用に串刺しにした。
彼は1マイル北に歩き、家に戻った。
さて、教えてくれ給え:鳥の色は何色だったか?またその理由は?」
アカーシアは目を見張り、当惑で美しい表情に皺を寄せた。
「これは聞いたことがあるわ」彼女は言った。「易しすぎる。シロクマだから白よ。」
「鳥だ、熊じゃない。だから、答えは『白だ。北極熊だ。彼は北極点にいるんだ。』ではあり得ない。」
彼らの回りの迷路が震え始め、一番近くのスライド・パネルの下から煙がはき出されてくる。キャプテン・サイファーの両目の焦点がぼけた。「串刺しにした。追いかけて倒し、串刺しに...ということは...」
「あなた、解けそう?」彼らにできるのは、損を覚悟で大急ぎで逃げ去るか、あるいは問いに答えることだ。1秒毎に5ポイントが課せられている。
「半分は分かりました、姫milady。鳥は...」
アカーシアは彼に任せることにした。彼女は剣を高く掲げ、背をキャプテンに向け、危険に備えて待った。しかし、その間も腹を引き締め、胸を張って、カメラを意識することを決して忘れない。永遠の「チーズ」のポーズだ。
(中略)
キャプテン・サイファーの背後の鏡が赤く火炎を発した。
今その中に口が現れ、輝きながら成長し、巨大な、にかっと笑ったダイアモンド型になり、針のような歯で埋め尽くされていた。
炎がその中で踊っている。不気味な笑いが彼女の耳に響いた。
迷路のデーモンだ。これが最後の切り札trumpなのだ。
もしキャプテン・サイファーがしくじれば、彼らの蓄えたポイントはすべて失われる。もし彼が成功しても、彼女が実体化したデーモンに殺されれば、Troglodykesはサイファーを追い立て、血祭りに上げるだろう。
「答えは分かったの?」彼女はささやいたhissed。
「今まで出版されてない。まるっきり新しい謎だ。凄い!」
その時、デーモンが跳躍した。
アカーシアはペンテシレイアPenthesileia(みっち注:アマゾンの女王、トロイ戦争で活躍するが、アキレスに倒される)としての戦いの叫びを上げた(慎重に練習されたジョニー・ワイズミューラーとエラ・フィッツジェラルドのミックスだ)、すると-
デーモンは跳躍途中で、固まった。キャプテン・サイファーが質問に答え始めたのだ。斬り合いは、しばらくの間サスペンドだ。
彼女は心配げにサイファーの肩越しに、のぞき見た。
彼はこうタイプした、「黒と白のペンギン。」
丁寧だが詮索好きそうなデーモンが画面に現れた。
「なぜですか?」雌雄不明のそれは、心地よい深く大きな声で尋ねた。
サイファーは後ろを振り向いた。「キャンプは1マイルと1割る2パイ掛けるNマイル、南極点の北にあるのさ。」
アカーシアは目を見張った。「何ですって?」
「狩人は追いかけて倒した、そうだろう?その鳥は飛べないんだ。ペンギンだよ。タキシードを着た人気者は、南極近くにしかしない。」彼は猛然とタイプしていた。
1+1/2Pi(N)マイルだけ南極点の北(Nは正の整数)
「これでデーモンも、キャプテン・サイファーが大真面目だと分かるさ。」彼は鼻高々で言った。「さて、狩人は極点の少し北に彼のテントをセットしたんだ、いいかい?彼は1マイル南へ歩いた。極点に向かってだ。そこで極点を中心とする円を描いた。それが西に1マイルということなんだよ、分かる?もし、彼が極点にごく近かったら、極点の周りを2周、3周あるいは4周するだろう。それから、彼はもとの道を通って戻る、1マイル北だ。それで彼はベース・キャンプに戻る。そんなことが可能な唯一の場所は南極点だよ。」
彼女は茫然自失のようだった。
』
みっち注:
スターシップ・トルーパーズは、言うまでもなく、 ロバート・A・ハインラインの超有名SF小説(1959年の作品)。
ただし、現実世界で映画化されたのは1997年である。このThe California Voodoo Gameは、1992年の作品なので、この映画化のことは知らないはず。(多分-笑)
したがって、ここは将来スターシップ・トルーパーズが映画化されたという想定で、書いたんだと思います。ややこしいなぁ。(笑)
はい、これで引用はお終いなのですが、アカーシア同様に、まだ茫然自失の方(笑)向けに、蛇足の解説を付け加えておきましょう。この絵を見てください。
Homeが狩人のベース・キャンプです。Poleは南極点です。狩人はキャンプから南へ南極点の方向へ、1マイル進み、A点に達します。ここで西に向かうのですが、極点の近くですから、真西に向かうとは、極点を中心とした円を描くことになります。そして、ちょうとA点に再び着いた時に、ちょうど1マイルになっておればよい。そうすれば、A点から北へ1マイル歩けば、元のベース・キャンプに戻ります。
つまり、A点と極点との間の距離をrとすると、2掛けるr掛けるPi(円周率)が1マイルなら、この条件を満たします。これは1周でA点に達した場合で、サイファーが言っているように、2周でも3周でも、とにかくちょうどA点に達した時に1マイルになればOKです。
よって、2掛けるr掛けるPi(円周率)掛けるN(回)イコール1マイルという関係が成立します。
式で書くと、2 x r x Pi x N = 1 mileですね。
A点から極点までの距離rは、したがって、サイファーの言うとおり、1 / (2 x Pi x N)です。
Q.E.D.(Quod Erat Demonstrandum-笑)