鎌倉散策には、果たしてアナログ・カメラがマッチするか。ヘキサーRFにJupiter-8を付けてみるのだ。(愉) |
眺めの良い席に座り、Jupiter-8を付けたヘキサーRFを、窓際に置いて。(笑)
ヘキサーRFについては、いろいろ過去記事がある。
ヘキサーRF過去記事
Jupiter-8は、キリル文字でЮПИТЕР-8と書く。ソ連製のレンズである。
インターネット上に情報は多いが、ここあたりを参考にして、少々説明をしておこう。
このレンズのオリジナルは、Carl Zeiss Jena Sonnar 1:2 f=5cm。もともとは、戦前のカール・ツァイス社がライカに対抗して、最初のレンジファインダー機Contaxを発売した1932年当時用意されたレンズの一つです。
早い話が、これをソ連でコピーして製造したのだが、細かい話は色々ある。
まず、Contax用レンズは独自のバヨネット・マウントなのに対して、このレンズはライカL型用のL39ネジ・マウントとなっています。
これはソ連が勝手に改造したわけではないらしい。
戦時中に、ライカがドイツ軍用として広く使われたため、そのライカにもカール・ツァイス・レンズを使ってもらおうと、カール・ツァイス社自身が、L39マウントのレンズを製造・販売していたとのこと。(50mm f2.0、50mm f1.5、85mm f2.0、135mm f4.0の4種類)
ドイツ崩壊とともに、ソ連はイエナにあったカール・ツァイス社の設備・技術者を接収し、自国に持ち帰ります。こうして、ソ連でJupiter-8が作られるようになったのです。
このため、Jupiter-8の最初のモデルPT3005(1948年)は、オリジナルのCarl Zeiss Jena Sonnar 1:2 f=5cmの部品をそのまま利用して、組み立てられています。当然オリジナルと同じく、沈胴式です。
その後ドイツ製の部品はなくなり、ガラスもドイツ製からソ連製に切り替えたため、材質が変わってしまい、再計算されて設計も少し変わったようです。基本線は変わりませんが。
レンズ構成は3群6枚構成、これぞルートヴィッヒ・ベルテレLudwig Jakob Berteleが設計したSonnar型レンズですねぇ。(愉)
(ここから追記です。
それで、この構成図で、どこがSonnar型の売りなんじゃい、という質問について:
はい、2群目の3枚の貼り合わせレンズ、これがSonnar型の売りです。
この頃(1930年代)は、レンズのコーティング技術がなかったので、空気とレンズ表面の反射の影響が無視できなかったのです。そこで、レンズを貼り合わせて、空気との接触面を減らすというアイデアが生まれました。
それ以前のエルノスターErnostar型(これもベルテレの発明)の2枚目と3枚目のレンズの間の空気層を、ガラスで埋めた形になっています。
レンジファインダー機の標準レンズとしては、一世を風靡したデザインのようです。
欠点としては、3枚貼り合わせのレンズにコストが掛かることと、バック・フォーカスが長くとれないこと。このため、一眼レフの標準レンズには適していません。
以上追記終わり)
(さらに追記2014/02/11
そういえば、みっちは昔コンタックスCONTAX T2という、『高級』コンパクト・カメラを使っていた。あれも、ゾナーだったよなぁと思いだして、調べてみた。そうそう、ゾナー38mmF2.8でした。
2枚目と3枚目のレンズの間は空気層だし。(疑)
これはゾナーというよりは、エルノスターですよねぇ。
まあ、型式はともあれ、このレンズはとても良いレンズでした。
シャープだし、色乗りは良いし。
が、しかし、赤外線のオートフォーカスが全く信用ならない奴で、全体の性能をスポイルしておりました。(汗)
以上追記終わり)
みっちのJupiter-8は、PT3060型、この型から、距離調節ヘリコイドの指掛けレバーが省かれています。またレンズ先端の刻印が、"1:2 F=5 cm"から、シンプルな"2/50"表記に変わっています。製造番号は60*****ですから、1960年製のようですねぇ。おおっ、50年以上前だ。
鏡胴はアルミ製、強度不足が欠点と指摘されています。特にフィルター取り付け枠のネジ部は、肉薄ですから、弱そうですよね。みっちは、一応プロテクトフィルターをねじ込んで使っています。
絞りはF22までありますが、クリックストップはありません。また、各絞りの間隔は等間隔ではありません。
さあ、それで肝心の写りはどうなんでぇ。
まずは、カフェ窓際のライト・スタンドを撮ってみましょう。これでほぼ1mの最短撮影距離ですね。絞りはf2開放ですが、ピントちゃんと来ています。ちょっと驚き。(何故?-笑)
中遠距離で絞り込んで撮影。まあ、しっかり写ってますね。
これは中近距離。絞り開放です。ちょっとバックのボケが煩いですね。ピントの合っている部分は、充分シャープです。
まあ、こんなところでしょうか。今回はネガカラーなので、色再現性云々の評価は止めておきますが、なんとなくモノクロ向きのレンズという感じはします。
今回使用したフィルムはフジのSUPERIA X-TRA400ですが、現像処理は、名古屋の『プリントデータショップ すずきかめら』さんにお願いしました。
36枚撮りネガカラーの現像+同時プリント+CD書き込みで600円/1本です。(それに送料180円、5本以上は送料無料)
CD書き込みの解像度は16BASE(3090x2048ドット、約600万画素)となります。マシンはノーリツですね。
一本からの依頼で、親切に対応してもらえました。なかなかお薦めだと思います。
みっちもフィルム・スキャナーは一応持っているし、D800Eで等倍デュープ撮影することもできますが、なにしろ『面倒くさい』(笑)ので、こうしたサービス提供は、本当にありがたいです。
↓すずきかめらさんのリンクを書いておきます。
http://www.suzukicamera.info/nega.html
>もうフイルムはめんどくさい...
そうなんですが、今回みたいに、デジタル化までショップにお願いすると、楽ちんです。(嬉)
それに、ヘキサーRFのファインダー覗くと美しいです。ほれぼれします。(呆)
一眼レフの、すりガラスとは全く違いますし、ましてや今どきのEVFの画像とは別世界です。
ただ風景から、スポーツ写真まで、幅広くなんでもこなすというと、やっぱり現状では、D800Eのようなカメラになってしまいます。確かに重いですが、現地でカメラを構えると、安心感が違います。
まあ、これから先は分かりませんね。
その時点で納得の行くのを選べば良いや、と気楽に構えています。
ただ、ちょっと輪郭が強調されている様に見えますので、スキャン時に多少ハイコントラストの処理が入っていると思います。
(私がいつも利用するラポの話では、プリントやスキャン時にノーエフェクトと指定しない限り、原則としてエフェクトが入るとの事)
おおっ、そうですか。貴重な情報です。
やっぱり、こんな感じなんですかね。
>スキャン時に多少ハイコントラストの処理...
はい、この画像はショップのデータをPhotoshop CS6でリサイズしただけなのですが、少しシャープネスが掛かっていますね。
ノーリツのラボ機は、ストレート焼きとアキュスマート補正(デジタル補正)のどちらかが選べるようです。これがいわゆる「補正なし」「補正あり」の違いのようです。
こんど、ショップに聞いてみましょう。
こんな記事があったんですね。以前、Cビオゴン T* 2.8/35 ZMについて検索した時に、みっち様の記事がヒットして読んだ事がありますが、その後、手放されたとの事。使いにくかったですか?
私はレンジファインダーの35㎜は、NOKTON classic 35mm F1.4 MCと、COLOR SKOPER 35mm F2.5 Pの2本で落ち着いていますが、Lマウントの50㎜が1本あってもいいなぁ…と思い、Jupiter-8に狙いを定めたのでした。
記事内のリンクを参照すると、PT3100に当たるようですが、私は、
HTTP://www.mars.dti.ne.jp/~cianmore/GALLERY/LEICA-Gallery/note.html
を参考にして、Type-4、のものを探しました。この画像よりもブラックの光沢があり、キヤノンL1のペイントにピッタリでした。我ながらマニアックな探し方ですが(笑)。
今日1日、様々な条件でテスト撮影してみました。仕上がりは後日ですが楽しみです。まあ、レンジファインダーは35㎜メインなので、そんなに厳しい目でチェックするつもりはないです。
>Cビオゴン T* 2.8/35 ZM...
いえいえ、手放さずにまだ持っています。ただ、購入する前はかなり個性的なレンズかと思っていたのですが、まったく優等生的なレンズでした。それはそれで結構なんですが。(汗)
教えていただいたリンクにしたがうと、私のJupiterはType-2ですね。
今気がついたんですが、後期のJupiterは回転ヘリコイドなんですか。
みっちのは直進ヘリコイドなので、みなそうかと思い込んでおりました。
確かに前期と後期では、鏡胴の形が違いますね。
まあ、そんなこんなで知見が広がるのは愉しいです。今後ともよろしく。
昨年、またレンジファインダー機を入手するにあたって、35㎜レンズの選択に迷いました。昔と違ってライカの中古レンズは暴騰していて、コシナの新品や中古が豊富になっているからです。Cビオゴン T* 2.8/35 ZMは比較的小型で操作性も良さそうで有力候補だったのですが、Lマウントのボディーもあるという事で、現在の2本に落ち着きました。
が、私は、ヘリコイドの指当てレバーや、絞りリングの操作の際に指の位置が限定されてしまうのが嫌いで、ノクトンクラシックの操作に慣れるのに時間がかかりました。一方、カラースコパーは小さすぎて、ピント合わせの時に絞りリングに触ってしまうことがありました。まあ両方とも慣れるに従い克服してきましたが…。
その点、このビオゴンは操作性がとても良さそうで羨ましいのでした。
さて、Jupiter-8の現像があがってきました。リバーサルでの撮影ですが、まず色乗りが現代のレンズと遜色がないほど良いですね。解像感も良好。ボケがうるさいとの評もありますが、ほどほどの絞りで上手く撮れば、気になるほどではありません。むしろ立体感のある写りに驚きました。その外観の特徴も含めて愛着を持てるレンズです。買ってよかった。
ではまた~。
レンズ構成図を見て、コシナのColor-Skopar 35mm F2.5と変わらんのじゃないか、という悪口もありますが、いいのです。ツァイス信者は『鰯の頭も信心から』なのです。(笑)
最近ヘキサーRFを中古購入したのですが、1つ教えていただけますでしょうか。
視野枠を変更するレバーが前面にあります。
レンズをつけない状態で、レバーを動かして変更した視野枠は固定されたままになりますか。
それとも一番外側の視野枠(35mm/135mm)に戻りますか。
お手数をおかけしますがお返事いただけますでしょうか。
よろしくお願いします。
おおっ、久しぶりにカメラ話題ですなぁ。(愉)
はい、視野枠セレクター・レバーですね。
レンズを外すと、レバーは外側に倒れて35/135枠を示します。この状態でレバーを内側に押せば、順に50/75、28/90と切り替わります。
スプリングが入っているので、その位置では止まらず、指を離せば35/135に戻ります。
これでよろしいですか?
ご回答ありがとうございます。
>スプリングが入っているので、その位置では止まらず、指を離せば35/135に戻ります。
なるほど!そういう風に動作するんですね。
まだ、レンズが手元になく、レンズキャップを付けた状態だと35/135と50/75では固定されるのに28/90では固定されなかったり
レンズキャップを置くまでカチッとしめると全くどの視野枠でも固定されいためおかしいなあと思っていましたが戻るのが正常動作なら安心しました。
ご確認いただきありがとうございます。
助かりました!
はい、視野枠を決めるために、レンズマウントの爪の長さに仕掛けがあります。
マウントの爪は4つあるのですが、フレーム・セレクターに一番近い側の爪の長さが、35/135、50/75、28/90の各レンズで変えてあるのです。
このおかげで、レンズを変えると、正しいフレームが自動的に選ばれる、ということになります。
なお、ネジマウントのライカレンズをMマウント・ボディに付ける時に使う、いわゆる「L-Mアダプター」は、この理由で、35/135、50/75、28/90の3種類が売られています。
間違えて購入すると、レンズは問題なく取り付けられますが、正しいフレームが選ばれません。