春だ。マイスタージンガーだ。そこで復習(おさらい)を少々。 |
もちろん、みっちは初めて。退屈しないといいけどなぁ。(汗)
オペラって、当たり前ですが、お芝居と音楽が一体ですからね。演出を『見る』というのも、愉しみのかなりの部分を占めているわけで。
さて、ではそれに備えて、少し復習っておこうかな。
『ニュールンベルグのマイスタージンガー』第3幕5場(Act 3 Scene5)ですが、ベックメッサーがザックスのところで手に入れたワルターの歌を、読み間違えて歌い、観客の失笑を買って退散する。そこでワルターが正しく歌う、というこのオペラの中の白眉のシーンなのですが、ここでの言ってみればワグナーの言葉遊びの詳細を、今までみっちはちゃんと理解していなかった。今回特に調べてみました。
まずはベックメッサーの歌。(間違った歌)
1: "Morgen ich leuchte in rosigem Schein,
2: von Blut und Duft
3: geht schnell die Luft;
4: wohl bald gewonnen,
5: wie zerronnen;
6: im Garten lud ich ein
7: garstig und fein."
続いて、ワルターの歌。(正しい歌)
1: "Morgenlich leuchtend im rosigen Schein,
2: von Blüt' und Duft
3: geschwellt die Luft,
4: voll aller Wonnen,
5: nie ersonnen,
6: ein Garten lud mich ein, ..."
比べやすいように、番号を振ってあります。
まず1行目。これはあんまり変わらないみたいですが、正しくはMorgenlich(Morgenは朝、-lichは英語の-lyと同じ) をMorgenとichに分解してしまっています。このおかげで、『薔薇のような明かりの朝の輝きに』という詩が、『私が朝に輝くのだ』となってしまうのですね。『leuchtend (形容詞)輝かしい』が『leuchte (動詞)輝く』に変わっています。
2行目。これは大笑い、『Blüten(名詞)花』が『Blut (名詞)血』になっています。『花とその香りが』が『血とその香りが』だから笑うよね。
3行目、正しくはgeschwellt をgehtとschnell に分けちゃったもんだから、『空気が重く漂う-(英語のswellです)』が『空気は速く動く』になります。
4行目は、『voll aller Wonnenいっぱいの全ての喜びが』が『wohl bald gewonnen多分すぐに勝った』と響きが似ている意味のない言葉群に変えられている。
5行目も同様、『nie ersonnen想像もしなかった』が『wie zerronnen溶けちゃったみたいな』???となります。
6行目は、『ein Garten lud mich ein庭が私を招いた...』なのに、『im Garten lud ich ein私が庭に招いた』とこうなります。それゆえ、招いたって、いったい誰を招いたんだぁ、とこうなっちゃう訳ですね。
7行目はベックメッサーの方にしかない。まあ、歌の都合で付け加えたのかな。意味は『ひでぇそして素晴らしい』で全く意味をなしません。(笑)
そうか、改めて調べてみると、こうなっていたんだ、とみっちはこのシーンを再認識いたしました。
写真は4月に開かれるマイスタージンガー演奏会形式のパンフです。場所は上野の東京文化会館、オケはN響です。