テクニカラーTechnicolorの3色分解原理はぁ(笑) |
もう少し詳しく知りたいということで、英語版のWikipediaでTechnicolorを調べると、かなり詳しく載っている。でも、まだ完全にはよく分からない。さらに探索してみる。
このサイトによい解説を見つけた。ここの概念図を写させてもらうと良いのだが、まぁそれも色々問題ありそうなので、自分で書いてみた。みっち流のテクニカラー概念図である。内容はすべて上記記事に基づいている。
まず前提。
1.テクニカラーでは3本の白黒フィルムを同時に記録に使う
2.3本の白黒フィルムはそれぞれ、緑、青、赤の記録に使う
3.こうして撮った3本の白黒フィルムから、カラー映像を合成する
みっちが疑問に思っていたのは、プリズム1個では3色(緑・青・赤)に分離できないから、そこをどうしているんだろう、という点だった。プリズム2個なのかな、と思っていた。そうではなくて1個でうまくやっているんです。
ここから、みっちの書いた上図を参照。
光は左からレンズに入射する。プリズムの中に半透過のミラーがある。半透過のミラーは古くはキヤノンのペリクルミラーpellicle mirror、今だとソニーαのトランスルーセントミラーに使用例がありますね。テクニカラーの時代では、薄膜のミラーだけでは自立しなかったと見えて、ミラーは硝子のプリズムの中に埋め込まれています。
この半透過ミラーは、1/3の光をそのまま直進させ、2/3の光を直角方向に曲げます。
まずは直進した光の処理から。
A)プリズムを直進した光は、緑のフィルターを通過する。ここで緑以外のスペクトラムは吸収されてしまう。よって、フィルターの背後の白黒フィルムには、緑のスペクトラムだけが、白黒で記録される。これは簡単ですね。
次は、90°曲がった光の方の処理。これはちょっと複雑です。
B)さて2/3の光は、90°角度を変えて、マジェンタのフィルターに入る。ここで緑のスペクトラムは吸収されてしまう。(マジェンタというのは青+赤です)
C)マジェンタフィルターを通過した光は、青記録用の白黒フィルムと赤記録用の白黒フィルムに記録されるのだが、ここで青用のフィルムと赤用のフィルムは、互いの乳剤面を接触させ、一つにパックされている。
D)光はまず、青記録用フィルムのフィルムベース(透明なのだろう)を通過し、青記録用の乳剤に到達する。ここで肝心な点は、青記録用白黒フィルムは、オルソクロマティックorthochromaticタイプだということ。
オルソクロマティックってのは、早い話が赤に感光しないのです。昔(みっちの時代よりもっと昔-汗)はよく使われていたらしい。暗室のランプはだから赤ですよね。で、赤には感光しないから、この青記録用乳剤には、青スペクトラムだけが記録される。
さらに仕掛けがあって、この青記録用フィルムの乳剤面の表面には、赤-オレンジの染料がコーティングされています。
E)青記録用乳剤を通過した光は、上記の赤-オレンジ染料によって、赤以外のスペクトラムが吸収されます。そこで残った赤スペクトラムの光のみが、赤記録用白黒フィルムの乳剤に到達する。とこういう仕掛けです。もちろん赤記録用白黒フィルムは、パンクロマティックpanchromaticで、赤にもちゃんと感度があるのを使います。
これは考えましたねぇ。でも、かなり苦しい仕掛けですねぇ。緑に比べると、青と赤は少しシャープネスが落ちそうだし、赤の発色は少し不足しそうです。
やあ、これでテクニカラーの原理が分かったので、すっきりしました。(笑)
画像は、テクニカラーの模式図。みっち作成。禁無断転載(笑)